同年に両リーグとも「投手三冠」は13年前のカーショウとバーランダーが最後。今年はこのままいけば…
今シーズンは、「投手三冠」が2人誕生するかもしれない。クリス・セール(アトランタ・ブレーブス)の防御率2.62、14勝(3敗)、187奪三振は、いずれもナ・リーグ1位。同様に、タリック・スクーバル(デトロイト・タイガース)の防御率2.49、14勝(4敗)、185奪三振は、ア・リーグ1位だ。
1901年以降、ナ・リーグあるいはア・リーグの「投手三冠」は、延べ33人を数える。直近の33人目は、2020年のシェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ=現ガーディアンズ)だ。防御率1.63、8勝(1敗)、122奪三振を記録した。2020年のレギュラーシーズンは、新型コロナウイルスのパンデミックにより、1チーム60試合に短縮された。
ビーバーの前の2人、31人目と32人目は、同じシーズンだ。2011年に、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)とジャスティン・バーランダー(当時タイガース/現ヒューストン・アストロズ)が、それぞれ、ナ・リーグとア・リーグの「投手三冠」となった。カーショウは、防御率2.28、21勝(5敗)、248奪三振。バーランダーは、防御率2.40、24勝(5敗)、250奪三振を記録した。ナ・リーグ最多勝のタイトルは、カーショウと21勝(4敗)のイアン・ケネディが分け合った。
同じシーズンに「投手三冠」は、4組しかいない。最初の3組は、1905年のクリスティ・マシューソンとルーブ・ワデル、1918年のヒッポ・ボーンとウォルター・ジョンソン、1924年のダジー・バンスとジョンソンだ。
2011年のカーショウとバーランダーは、ともに、初めてサイ・ヤング賞に選ばれた。2人とも、その後、2度受賞している。
当時のカーショウとバーランダーは、23歳と28歳。現在は、36歳と41歳だ。今シーズン、このままいくと「投手三冠」となる2人は、セールが35歳、スクーバルは27歳。セールの年齢は、現在のカーショウに近い。一方、スクーバルの年齢は、2011年のバーランダーに近い。
セールの復活については、5月にこちらで書いた。
◆「2010年代のエースが復活。35歳で初のサイ・ヤング賞もある!?」
スクーバルは、メジャーリーグ5年目。今シーズンは、「完全開花」と形容できそうだ。2022年8月に受けた肘の手術を挟み、2022年は117.2イニングで防御率3.52、2023年は80.1イニングで2.80を記録した。
なお、現在、ナ・リーグでセールに次ぐのは、防御率2.72のザック・ウィーラー(フィラデルフィア・フィリーズ)、12勝(5敗)のウィーラーと12勝(9敗)のディラン・シース(サンディエゴ・パドレス)、186奪三振のシースだ。ア・リーグでは、防御率2.89のロネル・ブランコ(アストロズ)、13勝の4人、176奪三振のギャレット・クローシェイ(シカゴ・ホワイトソックス)が2位に位置している。ブランコとクローシェイの白星は、二桁に達していない。