本州最南端の町のサツマイモはいかが?シナモンが優しく香る「芋いも」に包まれたしっとり黄身餡にご満悦
皆さんは海派ですか?山派ですか?
唐突に、しかも海水浴とはかけ離れた時期に何を言い出すのかと思ったかと思います。しかし、本日の和菓子は海の町からお届けするさつまいもの和菓子なのです。
本州最南端の町、和歌山県の串本町は、雄大な大海原の景観のみならず、太陽の日差しと適度な風、そして海辺からやや上の方に広がる水はけと栄養価に優れた土壌という恩恵も受けた町。それらがさつまいもの栽培に適しているということから、なんと400年以上もの栽培歴がある場所という記録も残されているのだとか。
今回は串本町にて、明治26年創業の薄皮饅頭でも有名な「串本 儀平」さんのさつまいもを使用した「芋いも」をご紹介。
ストレートな菓銘の如く、黄身餡にじもとのさつまいもを練り込んだお菓子。本州最南端の岬、串本町にある潮岬はかつて「上野(うわの)の芋」とうたわれるほど非常に美味だと気を博したのだとか。そのさつまいもを蒸かして潰し、白いんげん豆の白餡に卵黄を加えた黄身餡と合わせるのです。
と、私自身が説明しているだけでもう「あぁ、珈琲を淹れたい…」と思うわけですが、その黄身餡を皮で包みさつまいものような形に整えてから焼成するのです。
いわゆる焼き饅頭なのですが、全くパサついていないのです。一般的な焼き菓子類のお饅頭より若干お日保ちが短いのも納得。さっくりとしているものの、すっと口の中に違和感なくなじむ皮にはシナモンがぱらぱらと。
スパイシーさよりも芳しさを演出し、中の黄身餡をドレスアップ。まろやかな黄身餡特有のコクはしつこすぎず、ワンテンポおいてさつまいもそのもののほくほくとした風味がふわっと口の奥から漂い、肩の力がストンと抜けるのです。
断面はほろほろっとした焼き芋のようではありますが、実際はしゅるりと口の中で滑らかに溶ける黄身餡。そっと添えられたシナモンのおかげで、家族揃ってのおやつにぴったりな味わいですね。
海辺のお土産、というと海鮮系のおせんべいや乾物に目が向きがちですが、地域の風土を活かした和菓子も要チェックです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<串本 儀平・本店>
公式サイト(外部リンク)
和歌山県東牟婁郡串本町串本1851
0735-62-0075
7時~18時
定休日 なし