フードジャーナリストが実食して厳選! 絶対に食べるべき「逸品」5選!【2024年11月】
フードジャーナリストが心揺さぶられた逸品とは
フードジャーナリストとして活動を始めて早四半世紀。これまで累計で10,000軒以上の飲食店を食べ歩いてきた。何十年も毎日のように外食をしていると、少しずつ感動が薄れてくるのも事実。どこかで食べたような料理と出会うことも増えてきた。それでも日々外食を続けているのは、美味しさの先にある感動を求め続けているからかもしれない。
作り手の顔が見える料理を食べたい。その店でしか味わえない一皿と出会いたい。そんな思いを持って日々食べ歩きをする中で、驚きや感動がある料理と出会うと嬉しくなるものだ。日々食べ歩きの中で出会った、心を揺さぶられた一皿を毎月厳選してご紹介していきたい。なお掲載順は地域別に並べているだけで優劣を示すものではない。
スペイン坂で愛される伝統の味『びいどろ』の「魚介のパエリア」(東京・渋谷)
渋谷にある細長い坂の路地に多くの飲食店や物販店が重なり合うスペイン坂。その一角にあるスペイン料理店が、1977(昭和52)年創業の老舗『びいどろ』(渋谷店:東京都渋谷区宇田川町16-13)。使用する食材やワインはスペインから直送されたものを厳選。都内でもいち早くスペイン料理の魅力を伝えてきた老舗レストランだ。銀座や池袋、吉祥寺などにも店舗を展開している。
この店の名物料理といえばやはり「パエリア」。国際パエリアコンクールでも優勝を果たした折り紙つきのスペシャリテは、ふんだんな魚介の旨味をたっぷりと吸い込んだ米の美味しさが光る逸品。他にもイカスミ味やパスタを使ったパエリアなど、パエリアのバリエーションは6種類もあるので、色々試して自分好みのパエリアを選ぶ楽しさもある。
厳選ポイント:魚介の旨味が凝縮された伝統のパエリア
ソースの味がしっかりと染み込む『Coffee Bar K』の「カツサンド」(東京・銀座)
大人の街、銀座で長年愛されているオーセンティックなダイニングバー『Coffee Bar K』(東京都中央区銀座6-4-12 KNビル3F)。ゆったりとした作りのカウンター席とテーブルソファ席の店内は南仏マルセイユのバーをイメージしたもの。ドリンクメニューは置かれておらず、バーテンダーに自分の好みを伝えて相談しながらお酒を決めていくスタイル。
フードメニューもしっかりと充実しているので、一軒目から使うことも出来るし、深夜や明け方のお腹を満たすことも出来る。この店で食べるべき逸品は「カツサンド」。宮城県産のもち豚を肉厚にカットして香ばしく揚げたカツを、オリジナルのソースにたっぷりと浸して、銀座の老舗『木村屋』の食パンでサンド。柔らかでジューシーなカツサンドはついつい手が伸びて、あっという間になくなってしまう美味しさだ。
厳選ポイント:柔らかくジューシーな食感がクセになる味わい
見ただけで分かるスペシャリテな一貫『寺子屋すし匠』の「おはぎ」(東京・神谷町)
2023年11月にオープンした『麻布台ヒルズ』には、人気のレストランがいくつも出店して話題になっているが、1989年の創業以来寿司業界を牽引してきた四谷の名店『すし匠』も、新たなコンセプトの『寺子屋すし匠』(東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズガーデンプラザB)として出店。早くも翌年まで予約が取れないほどの人気を集めている。
『すし匠』のスペシャリテ「おはぎ」はこの店でも健在。上質な鮪の中落ちや赤身と皮ぎしなどを、食感が楽しい葱と沢庵と合わせて「おはぎ」のように酢飯を包む『すし匠』で生まれたオリジナルの握り。この「おはぎ」を見れば、誰もが『すし匠』の名前を思い浮かべることが出来る。まさにスペシャリテと呼ぶべき一貫だ。
厳選ポイント:鮪と酢飯の圧倒的な一体感
濃厚で深みのある味わい『Stellato』の「トウモロコシのヴルーテ」(東京・白金台)
白金プラチナ通りのランドマークとも言える白い洋館のペントハウス。カジュアルイタリアンの『ラ・ボエム』の3階にある『Stellato』(東京都港区白金台4-19-17)。は、古城のペントハウスに広がる温室をイメージした空間。『グローバルダイニング』のフラッグシップレストランとして、この秋に「デコントラクテフレンチ」を新たなコンセプトに掲げて、リーズナブルな価格のコースとアラカルトと、料理も一新している。
新しいメニューの中で印象に残ったのが「トウモロコシのヴルーテ」。ヴルーテとは濃厚で滑らかな「ベルベットのような」食感のソースのこと。冷たく仕上げた濃厚なトウモロコシのヴルーテの下にはコンソメのジュレが忍ばせてあり、季節に応じて様々な素材でヴルーテやジュレを変化させることも出来そうで、この店のスペシャリテになりそうな一品だ。
厳選ポイント:濃厚なトウモロコシとコンソメのハーモニー
横浜で長年愛される名物『THE HOF BRAU』の「スパピザ」(神奈川・山下町)
戦後間もない1947(昭和22)年に創業。山下公園やマリンタワー、中華街も程近い、古き良き港町の雰囲気を残す山下町にある老舗ビアレストランが『THE HOF BRAU(ホフブロウ)』(神奈川県横浜市中区山下町25ー1)。店内は重厚な雰囲気ながらも堅苦しくない食堂のような佇まい。美味しいビールと共に楽しむ料理も充実している人気店だ。
数あるメニューの中から必ず食べるべき一皿は「スパピザ」。濃厚なミートソーススパゲティの上にたっぷりのチーズを乗せてオーブンで焼いた、この店オリジナルの一品。元々は港で働く船員たちのために作られたボリューム満点のメニュー。香ばしくこんがりと焼かれたチーズの香りと、鉄板でカリカリになったスパゲティの食感。横浜の思い出と共に記憶に残り続ける逸品だ。
厳選ポイント:オリジナリティあふれる伝統のスパピザ
食べ歩きの楽しさとは、他では食べたことのないような新たな料理と巡り会えること。今回ご紹介したお店の逸品は、私が個人的に印象に残った料理を選んだものなので、もちろん他にも美味しいメニューがたくさんある。まずは気になったお店に足を運んで頂いて、メニューの中から自分だけの逸品を見つけてみて欲しい。
※写真は筆者の撮影によるものです。
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