久保建英への厳しいマークとソシエダの課題。効果的なプレッシングとビルドアップ封じ。
シーズンは長丁場だ。そのなかでは、様々なシチュエーションでの試合が存在する。
レアル・ソシエダはリーガエスパニョーラ第19節、アラベスに引き分けた。前半の時点でGKアレックス・レミーロが退場したダービー・マッチで、勝ち点1獲得に留まり、現在リーガで6位に位置している。
■今季のラ・レアルとプレスの強化
ソシエダは今季、プレシーズンの段階でダビド・シルバがひざを負傷。D・シルバは長期離脱を強いられ、その後、引退を決意した。
イマノル・アルグアシル監督は、D・シルバが不在になったチームで、システムと戦術の変更を行なった。
【4−4−2】中盤ダイヤモンド型の布陣は【4−3−3】になり、ポゼッションとプレッシングが織り交ぜられたスタイルが志向された。
第一に、指揮官にとって重要なのはプレスの強化だった。
「CF +右WG」で相手の”CBに対してプレスを掛け、「左WG +2IH」が中盤で網を張る。フィルターをかけ、引っ掛けたところで、アンカーが回収する、というのがソシエダのプレスの基本形だ。
ボール奪取後のショートカウンター、というのは、ソシエダが得意とするところだ。逆説的に、相手が強ければ強いほど、このサッカーは嵌まりやすい。今季のソシエダがインテルやバルセロナ相手に好ゲームを演じたのは偶然ではない。
■攻撃の問題点
一方、攻撃面では、課題を抱えている。
繰り返しになるが、ここでもD・シルバの不在に言及せざるを得ない。彼がいないことによって、「創る」選手の数が減った。
パスの「出し手」と「受け手」の話で、出し手が少なくなった。それもD・シルバというトップクラスの出し手が不在となったのである。
■久保とバレネチェアのピン留め
シーズン序盤、イマノル監督が取り組んだのは、久保建英、ミケル・オジャルサバル、アンデル・バレネチェアの3トップを擁立することだった。久保とバレネチェアというウィンガーを両サイドに配置して、オジャルサバルをファルソ・ヌエベ(ゼロトップ)で使うという判断である。
順を追って見ていこう。まずは久保とバレネチェアの両ウィングである。
イマノル監督の【4−3−3】で、重要なタスクを託されたのが、久保とバレネチェアだった。この2人はドリブルが得意で、突破型のWGの選手だ。
久保が右サイド、バレネチェアが左サイドでワイドに張り、対峙するサイドバックを「ピン留め」できる。相手のディフェンスラインを横に広げることが可能になり、中央でスペースが空く。そこをCFやIHが使う。これは理に適ったやり方だ。
イマノル監督にとって誤算だったのは、バレネチェアの負傷だ。
バレネチェアは昨年12月2日のオサスナ戦で負傷。年明けのコパ・デル・レイのマラガ戦で復帰するまで、負傷離脱を強いられていた。
バレネチェア不在のソシエダは片側の翼がもがれたようなものだった。必然的に久保に対するマークは厳しくなり、かつ、両サイドを広く使うサイド・アタックは機能しなくなっていった。
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■ラ・レアル対策 4−4−1−1の守備
また、対戦相手は徐々に「ラ・レアル対策」を徹底するようになった。
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