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なぜレアルはヴィルツを狙っているのか?エムバペの加入決定と必要な中盤の補強。

森田泰史スポーツライター
レヴァークーゼンでプレーするヴィルツ(写真:ロイター/アフロ)

強者は、決して、歩みを止めない。レアル・マドリーが、積極的な動きを見せている。

マドリーは先日、キリアン・エムバペの獲得を発表した。また、ブラジルの至宝、エンドリックの来季からの加入もすでに決まっている。

だがフロレンティーノ・ペレス会長は満足していない。チャンピオンズリーグでクラブ史上15度目の優勝を果たしたばかりであるが、16度目のビッグイヤー獲得に向けて、働き続けている。

■新たな関心

マドリーが新たに関心を寄せているのはフロリアン・ヴィルツ(レヴァークーゼン)だ。

ヴィルツは一昨年、レヴァークーゼンと契約延長を行った。現行契約は2027年夏までとなっている。

レヴァークーゼンは現在、シャビ・アロンソ監督の下、好調だ。今季、バイエルン・ミュンヘンを退けて、ブンデスリーガで優勝を達成。DFBポカールでも優勝を飾り、2冠を手にしている。

ヴィルツは2024−25シーズン、レヴァークーゼンでチャンピオンズリーグに出場する。マドリーとしても、獲得を急ぐつもりはない。ただ、2025年夏の獲得に向けて、すでに動き始めている。

■中盤の補強

マドリーはヴィルツを狙っている。つまり、近い将来、中盤の補強を敢行しようと考えている。

マドリーはトニ・クロースが今季限りでの引退を表明した。クロースは2014年夏にマドリーに加入。マドリーに在籍した10シーズンで、23個のタイトルを獲得している。

マドリーは、長く、クロース、カゼミーロ、ルカ・モドリッチが中盤に君臨していた。「CMK」と称された3選手は、役割の明確化とタスクの細分化で、チームにバランスをもたらしていた。

だが気付けば、残っているのはモドリッチのみだ。

クラブとしては、中盤に「新たな血」を注入する必要性を感じているところだろう。

■シャビ・アロンソとクロースの共通点

無論、ヴィルツとクロースでは、プレースタイルが異なる。

写真:アフロ

なお、クロースが加入した2014年夏、マドリーはシャビ・アロンソをバイエルンに放出している。2009年から2014年までの間、マドリーの中盤で舵取り役を務めていたのがシャビ・アロンソだった。

ジョゼ・モウリーニョ政権ではペペやセルヒオ・ラモスのボランチ起用、第一次カルロ・アンチェロッティ政権ではアンヘル・ディ・マリアのインサイドハーフ起用等があったものの、それはシャビ・アロンソのゲームメイク力があったからだ。

当時の指揮官たちは試行錯誤を繰り返していた。あの頃と同じように、これから試行錯誤が繰り返される可能性はある。そのために、“オプション”になりそうな選手は確保しておきたい。それがマドリーの本音かも知れない。

■若手推進のアイデア

また、マドリーはヴィルツの年齢にも魅力を感じている。

ヴィルツ(21歳)の加入は、近年、クラブが推し進める世代交代の方針と合致する。

この数年、マドリーはエドゥアルド・カマヴィンガ(2021年夏加入/移籍金3100万ユーロ/約49億円)、オウレリアン・チュアメニ(2022年夏加入/移籍金8000万ユーロ/約108億円)、ジュード・ベリンガム(2023年夏加入/移籍金1億300万ユーロ/約162億円)を獲得してきた。カマヴィンガ(21歳)、チュアメニ(24歳)、ベリンガム(20歳)、そしてフェデリコ・バルベルデ(25歳)と若い選手を重宝してきた。そのリストにヴィルツが加わるというのは、クラブとしては、ひとつのロジックの帰結である。

欧州で注目されるヴィルツ
欧州で注目されるヴィルツ写真:ロイター/アフロ

ヴィルツの移籍金は、1億5000万ユーロ(約240億円)前後になるとみられている。

先述のように、マドリーは2025年夏にヴィルツを獲得したいと考えている。だが、この夏、欧州ではEURO2024が開催される。その大会でドイツ代表のヴィルツが大活躍した場合、獲得レースが激化して、そこにマドリーが本格参戦、という可能性はある。

エムバペの獲得を決めたマドリーだが、彼はフリートランスファーで加入しており、移籍金はゼロだった。もとより、お金のないクラブではない。この夏のヴィルツのパフォーマンスと、移籍市場での動きから、目が離せない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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