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日本で一番きれいな虫その③=ルリボシカミキリは美麗甲虫コンテストの日本代表?

天野和利時事通信社・昆虫記者
交尾中のルリボシカミキリ

 一般的知名度はそれほど高くないにもかかわらず、虫好きの間ではルリボシカミキリを美麗甲虫コンテストの日本代表に挙げる者が多い。このカミキリの青色には独特の魅力がある。ピカピカの金属光沢の青ではなく、ビロードのような艶やかな青だ。生物学者の福岡真一氏など各界の著名人がこの青に魅せられたエピソードを語っている。

 しかしこの青も、他の多くの虫の色彩と同様に、死ぬと色あせる。やはり昆虫は、生きた姿を自然の中で目に焼き付けるか、写真に収めるのがいいと思う。

 ルリボシカミキリの体全体は、青地に黒い斑点というシンプルな柄で、カミキリ特融の長いヒゲ(触角)も、節ごとに青と黒に色分けされている。サイズ的にも触角を除いた体長が2~3センチと、まずまず見応えがある上、日本の固有種なので「日本代表」となる資格は十分ある。

ルリボシカミキリの神秘的なブルーのとりこになる人が多い
ルリボシカミキリの神秘的なブルーのとりこになる人が多い

 ルリボシは昆虫記者にとっても、毎年1度は会えないと寂しく、会えるとホッとする虫の1つだ。山地性の印象があるが、八王子市、町田市などの公園で何度か見つけているので、都市近郊の公園でばったり出会う可能性もある。

 樹液や花にも来るが、見つかる確率が高いのは、産卵場所となる伐採木置き場。農家の庭先に積まれた薪で見かけることもある。1匹目が見つかれば、近くに何匹もいる可能性が高いので、その場所で休憩しながらしばらく待ってみるのがいい。すると、周辺に次々と青い虫影が現れ、交尾を始めたりする。積み上げられた茶色い材木の間から、あの独特のブルーが出現した瞬間の感動が、虫好きをとりこにする。

産卵中のルリボシカミキリ
産卵中のルリボシカミキリ

ルリボシカミキリの飛翔
ルリボシカミキリの飛翔

 産卵用に好みの木があるようで、1度いた場所には、何年も続けて姿を見せるので、自分だけの「秘密の産地」を見つけてしまえば、毎年至福の時を味わうことができる。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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