あなたの家の周りにも山ほどいる身近で危険な害虫その1=チャドクガ
近所の公園や生垣にツバキやサザンカがないという家は少ないだろう。夏の葉はツヤツヤと輝き、冬の花は燃えるように美しいツバキ、サザンカ。かくれんぼをする子供たちが、その茂みに身を隠すこともあるかもしれない。しかし、そんなツバキ、サザンカには、恐らく都会で最も多く、最も危険な害虫のチャドクガの幼虫も隠れている。それも大群で。
タイトル写真を見て、何の写真か分からなかった人も多いだろう。あえて、正体不明の写真にしたのには、訳がある。
理由の1つは、毛虫の集団の写真がトップにあると、それだけでアレルギー反応を示してページを閉じてしまう人が多いということだ。毛虫の集団が苦手と言う人(普通の人はほとんどそうだが)は、この先の写真は見ない方がいいかもしれない。
理由の2つ目は、チャドクガの小さい幼虫は、こういう正体不明の大集団でいることが多く、好奇心旺盛な子供たちが不用意に触ってしまう恐れがあることだ。
チャドクガの小さな幼虫の集団は、葉を表と裏からサンドイッチ状態にして食べ進む習性がある。それを前方から見ると、黄色い頭だけが葉の縁にずらりと並んだタイトル写真のような光景になる。ちょっと可愛いい…などと思ってはいけない。
幼虫の毒針毛(1匹に何十万本もあるらしい)に触れると(近くを通った際に服に付着することもあるので注意)ひどい炎症になる。最初は痒く、のちに赤く腫れ上がったり、水膨れになったりする。
痒いからといって、患部を引っ掻いたり、こすったりすると、毒針毛が食い込んで、症状が悪化する。万一被害にあったら(昆虫記者も他のドクガで経験済み)粘着テープで毒針毛を剥がし取った後、流水で洗い流すのがいいという。抗ヒスタミン薬やステロイド薬で治療するのはその後だ。
最大の自衛策は、春から秋にかけて(チャドクガ幼虫は4~6月と8~9月の年2回発生するという)ツバキ、サザンカの茂みに近づかないことだ。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)