価格上昇が止まった中古マンション、これから安くなる物件には重大なリスクも
2023年は都心の高額マンションが注目を集めた年だった。東京23区内の新築マンションの平均価格は1億円を超えた。いやいや都心だけでなく首都圏全域の新築マンション平均価格が1億円以上だ、と「高くなった」ことがしきりに報道された。
「新築マンション価格高騰」のニュースが増えると、今度は値下がりを期待したくなる。これまで、新築マンション価格が大きく下がった時期の後には大幅な値下がりが起きていた。平成バブルが弾けたとき、そして21世紀の始まりとともに起きた「都心マンションブーム」の後にも新築マンションの暴落が生じた。
同じことが起きるのではないか、いや、起きて欲しいと願う人は多いだろう。
すでに「都心マンション一部に値下がりの動きが出た」というニュースも出ている。ついに新築マンションに値下げの動きが出たか、と思いがちだが、都心部で販売されている新築分譲マンションで価格を下げた事例はまだない。
では、どこで値下げが起きたのか。ニュースによると、都心マンションで値下がりしたのは新築ではなく、中古の話だった。中古として売り出されたマンションに売値を下げる事例がある、というのが「都心マンション一部に値下がりの動きが出た」の中身だった。
実際、中古マンション市場には、昨年から気になる動きが出ている。売り手が高値で売り出しても、なかなか買い手が現れないケースが多くなったのだ。
その結果、これまで上がり続けてきた中古マンション価格にも影響が出ている。上がり方が鈍ってきたのだ。
そのことを示すデータも出ている。「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド社が1月31日に発表した「2023年12月全国中古マンション相場推移」だ。
同調査では、中古マンション価格の高い場所を都道府県別・エリア別で取り上げ、10 年前・5 年前・3 年前・1年前との比較を算出。中古マンションの値動きが分かるようになっている。
その最新版となる2023年12月の調査で、気になる場所を抜粋したのが、下の表だ。表では地域ごとに現在の中古マンション推定価格を示し、10年前と比較したときの騰落率、1年前と比較したときの騰落率を並べてみた。
表を見て分かるとおり、10年前の2013年と比較したとき、首都圏と名古屋市、大阪市、京都市、神戸市といった主要都市では、中古マンション価格が大きく上昇。すべて1.5倍以上になってしまったことが分かる。
しかし、1年前との比較では「全般的に値上がりしている」とはいえない。抽出した15地点のうち相変わらず上昇幅が大きいといえるのは、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷の5区)の+9.6パーセントだけ。15地点のうち8地点が騰落率でマイナスになり、プラスになっても上昇率が小さな場所が目立つ結果となった。
中古マンションの価格上昇は明らかに鈍っている。これまでの10年間、価格が大きく上昇した中古マンションは、この先下がってゆく可能性がある。
では、中古マンション価格がさらに下がれば、それは購入の好機到来と喜んでよいのだろうか。その際の注意点は?
新築マンションとは異なる中古マンションならではの注意点をまとめたい。
中古マンションで、価格が大きく下がるのは……
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