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エンジェルスが手に入れた先発投手は防御率5.92、年齢は35歳。復活は期待できるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・ヘンドリクス Sep 3, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、カイル・ヘンドリクスと1年250万ドルの契約を交わしたようだ。WSCR-AMのブルース・レバインやESPNのジェシー・ロジャースが、そう報じている。

 WSCR-AMは、シカゴのラジオ局だ。ヘンドリクスは、2011年のドラフトでテキサス・レンジャースから8巡目・全体264位指名を受け、翌年の夏にトレードでシカゴ・カブスへ。2014年の夏にメジャーデビューし、以降は一度も移籍せず、カブスで投げてきた。ちなみに、出身は南カリフォルニアだ。エンジェルスは、2008年のドラフトで、39巡目・全体1189位にヘンドリクスを指名している。

 ヘンドリクスは、実績のある先発投手だ。ナ・リーグ1位の防御率2.13を記録した2016年をはじめ、規定投球回以上で防御率3.50未満のシーズンは、4度を数える。規定投球回未満のシーズンも含めると6度なので、通算11シーズンの過半数となる。

 ただ、2021年以降の防御率は、4.77(181.0イニング)→4.80(84.1イニング)→3.74(137.0イニング)→5.92(130.2イニング)と推移している。2024年は、シーズン序盤にローテーションから外され、5月下旬から6月中旬まで、リリーバーとして投げた。ローテーションに戻ってからも、17登板の85.2イニングで防御率4.73。来月初旬に誕生日を迎え、35歳となる。

 最後の5登板に限ると、復調と看做すにはサンプル数が少ないが、28.0イニングで防御率2.89を記録した。また、「プロフェッサー(教授)」のニックネームから窺えるとおり、球威で打者を圧倒するのではなく、チェンジアップと平均90マイル未満のシンカーを主体に、ゴロを打たせる投球を持ち味とする。

 2024年の与四球率は自己ワーストの2.96だが、それを含めても、通算の与四球率は2.07だ。制球次第では、3.50前後の防御率は可能かもしれない。

 もっとも、ヘンドリクスが期待に応えたとしても、ローテーションは心許ない。2024年の先発防御率は、両リーグ28位、ア・リーグ・ワーストの4.97。そこから、グリフィン・キャニングをトレードで放出し、ヘンドリクスを加えている。6月に肘の手術を受けたパトリック・サンドバルが復帰するのは、オールスター・ブレイクの前後だと思われる。

筆者作成
筆者作成

 ローテーションの整備は、これで完了ではないだろうが、オーナーのアルトゥーロ・モレノは、投手よりも野手に大枚を投じる傾向がある(「エンジェルスが強くなれない理由は、オーナーの「偏愛」にあり!?」)。また、FAの先発投手が、エンジェルスとコンテンダーの他球団から同等の契約を申し出られた場合、ポストシーズンで投げる機会、あるいはワールドシリーズ優勝のチャンスを考慮し、他球団を選ぶことも考えられる。

 なお、キャニングのトレードについては、こちらで書いた。

「エンジェルスはトレードで先発投手を放出し、5年前の本塁打王を獲得する。この動きは理に適っている!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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