若い女性部下の容姿を褒めたいとき、どうしたらいい? 若者が「気持ち悪い」と受け止める褒め方とは?
「部下を褒めてますか?」
あるリーダー研修で、講師がこう尋ねた。すると、ある受講者が次のように質問した。
「今日も綺麗だね。その服、似合ってるね。こんな風に褒めてもいいんですか?」
「もちろん、いいです」
その後、講師は「美点凝視」について語りはじめた。そして二人一組になり、相手の「美点」「良いところ」を見つけ、指摘し合う演習をスタートさせた。
「笑顔が、爽やかですね」
「可愛らしい服装で、明るい感じがします」
「ネクタイが、お似合いだと思います」
ついつい相手の「欠点」や「悪いところ」ばかりに目がいってしまう上司たちにとっては、大きな気付きを得られる演習だ。
ただ、この演習には重大な問題点がある。それは、はじめて会った人を相手にする演習なので、凝視する美点が、ついつい「容姿」に関わるものばかりになってしまうことだ。
新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません』で書いたとおり、昨今の若者は、自分の成長に対してどん欲だ。
だから成長に繋がらないことを褒められても仕方がないと感じる。ましてや、上司の自己満足的な「褒め」は気持ちが悪いとさえ受け止める若者も多いようだ。
■「容姿」への誉め言葉はリスキー
もちろん、容姿を褒められて喜ぶ人は多い。
しかしビジネスにおいては、できる限り控えたほうがいいだろう。リスクが高すぎるからだ。容姿や身体的特徴は相手のコンプレックスに繋がっているケースもある。
たとえば私は小さいころから痩せていたので、
「どんなに食べても太らないから、いいよね。羨ましい」
と、しょっちゅう言われた。しかし私は痩せていることがコンプレックスだった。なので、「いいよね」「羨ましい」と言われても、まるで嬉しい気持ちにはならなかった。
このように個人個人、感じ方は違うのだ。自分視点で「容姿を褒めたら絶対に嬉しいだろう」と決めつけてはいけない。
■上司は褒める「イフゼンルール」を必ず持とう!
相手の「美点」「いいところ」に着目するのはいい。しかし「褒めて伸ばす」と言うぐらいだから、部下の成長に繋がる褒め方をするべきだ。
新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません』で書いた。重要なポイントは、褒める基準・モノサシを持つことである。
・もしも部下が●●をしたら、褒める
・もしも部下の行動(成果)が●●を超えたら、褒める
このような感じで、褒める「イフゼンルール」を自分の中で決めること。そうすることで、部下も学習するようになる。
「なるほど、こうすると褒められるのか」
「やっぱり、これぐらいでは褒められなかった」
効果的に褒めながらマネジメントすることを、私は「ホメジメント」と呼んでいる。「ホメジメント」が正しく機能すれば、上司に言われなくても部下は率先して褒められる行動をするだろう。
容姿や身体的特徴、表面的な姿勢ではなく、部下の行動の変化、成果を「凝視」しよう。そうすれば、過去とどれぐらい成長しているか、その「美点」を見つけられるはずだ。