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イタリアの好調な打者は「犠打王」と2年前の「ドラフト全体15位」と…。準々決勝で日本と対戦〈WBC〉

宇根夏樹ベースボール・ライター
サル・フレリック Feb 25, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月16日、イタリアと日本は、準々決勝の試合を行う。イタリアを含め、プールAは5チームが2勝2敗で並び、失点率により、キューバが1位、イタリアが2位となった。キューバは、準々決勝において、日本に次ぐプールB2位のオーストラリアを破り、いち早く準決勝進出を決めている。

 イタリアは、1次ラウンドの4試合で20得点を記録した。キューバ戦が6得点(3失点)、台湾戦が7得点(11失点)、パナマ戦が0得点(2失点)、オランダ戦は7得点(1失点)だ。1イニング3得点以上は3度。キューバ戦の10回表と台湾戦の4回表に4点ずつ、オランダ戦の4回裏には6点を挙げた。

 ただ、ホームランは、誰も打っていない。20チームのうち、0本塁打は、イタリアとイスラエルだけ。1勝3敗のイスラエルは、1次ラウンドで姿を消した。

 イタリアの打率.300以上は3人。打率.500(16打数8安打)のニッキー・ロペス、打率.400(15打数6安打)のブレット・サリバン、打率.389(18打数7安打)のサル・フレリックがそうだ。

筆者作成
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 ロペスは、4試合とも2安打ずつ。長打は、三塁打と二塁打が各1本。チーム最多の7打点を挙げている。完封負けを喫したパナマ戦以外は、いずれも1試合2打点以上だ。また、サリバンは6安打とも単打だが、フレリックは7安打のうち3本が二塁打。4打点は、ロペスに次いで多い。

 28歳のロペスは、カンザスシティ・ロイヤルズのミドル・インフィルダーだ。一昨年は151試合で打率.300と出塁率.365ながら、昨年は141試合で打率.227と出塁率.281に終わった。スピードはあるが、パワーはなく、ホームランは通算451試合で5本に過ぎない。二塁打が25本に達したシーズンも皆無だ。一方、過去2シーズンとも、犠打は二桁を数える。2021年の12本はア・リーグ最多、2022年の10本はア・リーグ最多タイだ。端的に言えば、小技に長けた守備の人。ロイヤルズでは、レギュラーから準レギュラーとなりつつあり、このままいくと控えに回ることになりそうだ。

 来月で23歳のフレリックは、2021年のドラフト全体15位。ミルウォーキー・ブルワーズに指名され、プロ2年目の昨年は、A+とAAとAAAで計119試合に出場し、打率.331と出塁率.403、11盗塁本塁打と24盗塁を記録した。このスタッツからも窺えるとおり、ロペスのようなノンパワーではないものの、こちらもスラッガーではない。現時点における将来像は、センターを守る俊足巧打のリードオフ・ヒッターといったところだろう。

 また、サリバンは29歳の捕手だ。まだ、メジャーデビューはしていない。昨年の開幕直前に、ビクター・カラティニの交換要員の一人として、ブルワーズからサンディエゴ・パドレスへ移籍した。パドレスの捕手2人、オースティン・ノラルイス・キャンプサノの一方が故障した場合は、サリバンが昇格する可能性もあるが、マイナーリーグ契約のペドロ・セベリーノもいる。同じく29歳のセベリーノは、メジャーリーグで370試合に出場している。

 なお、ロサンゼルス・エンジェルスで大谷翔平とともにプレーしている、デビッド・フレッチャーについては、こちらで書いた。

「「大谷vs.トラウト」は幻に終わり、代わりに「大谷vs.フレッチャー」が実現する!?〈WBC〉」

 1次ラウンドの日本の打者については、こちら。

「WBC日本の「ホットな打者」と「コールドな打者」。大谷翔平と吉田正尚は8打点」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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