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【ブラックバイト】サークルKサンクス、労働時間を15分単位で切り捨てるシステムを構築

佐々木亮弁護士・日本労働弁護団幹事長
動画「No More賃金泥棒」より

世の中、SMAPの謝罪がブラックだっていう話題で盛り上がっていますが、本日、こういう報道がありました。

ブラックバイトユニオンが支援 県内高校生、バイト先に団体交渉要求

埼玉新聞という地方紙での報道ですが、同紙の取材で面白いことが判明しているので、ご紹介します。

まず、ニュースによりますと、「サークルKサンクス」というコンビニでアルバイトをしていた高校生が、賃金が一部未払いだとして、フランチャイズ加盟店オーナーに対して、団体交渉を申し入れたというものです。

高校生が団体交渉を申し込んだ!というところがニュース価値のあるところでしょう。

団交を申し入れた労組はブラックバイトユニオンです。

この高校生は、業務開始時間の20分前に入店し、制服に着替え、15分前から仕事に就いていたけれど、店舗オーナーから業務開始の14分前にタイムカードを打刻するよう指導されていたそうで、しかも、この店舗では賃金が15分単位で支払われており、15分未満の端数は切り捨てられていたというわけです

要するに、あえて14分前に打刻させることで、20分の労働時間分に対する賃金をケチっていたということです。

高校生とブラックバイトユニオンは、入店してから20分間分の賃金が未払いだと訴えているということです。

また、レジの「遺算分」の穴埋めについても返金を求めているとのことです。

この点、制服に着替える時間が労働時間にあたることは、この前の記事で、レジの「遺算分」の穴埋めについてはこの記事で指摘したので、本稿では言及しません。

本稿では15分単位で労働時間を切り捨てることについてコメントしたいと思います。

労働時間を切り捨てて賃金を払わないことは犯罪

まず、15分単位で労働時間を切り捨てることは合法でしょうか?

はい。もちろん違法ですね。

そして、犯罪です(労基法120条1号)。

賃金の未払いは労働基準法によって刑事罰が課されることもある犯罪なのです。

労働時間を切り捨てるシステムを構築したことを公言

この記事の面白いは、次の部分です。

サークルKサンクスを運営するユニーグループ・ホールディングス広報IR室によると、アルバイトの出勤時間を管理するシステムで、フランチャイズ加盟店は入店時間と実際の労働時間を0~15分間調整することが可能。労働時間を「丸める」ことができるという。

出典:埼玉新聞

このニュースによりますと、サークルKサンクスの労働時間管理システムは、0分から15分単位まで選択できるようになっているわけですね。

しかし、そもそも労働時間を切り捨てる方向で「丸める」ことは労働基準法違反です。

立派な犯罪です。

なのに、

「0~15分間調整することが可能」

「労働時間を『丸める』ことができる」

・・・。

え??認めちゃうの?

サークルKサンクスを運営するユニーグループ・ホールディングス広報IR室は、労働時間を切り捨てること(=犯罪)を自白しちゃいました。

そして、私がこのニュースを見て思ったのは、なぜわざわざこんなシステムにしたのか、ということです。

普通に、打刻時刻を労働時間としてそのまま反映するシステムを作る方が楽だと思います。

にもかかわらず、あえて15分まで「丸める」ことのできるように「選択肢」を作った意味が分かりません(まぁ、労働時間カットの意味なんでしょうけど)。

会社側は「基本は1分単位で賃金計算するよう指導している。」と弁解していますが、だったらシステムをそうしておけば済むだけではないでしょうか。

あえて加盟店が労基法違反ができるシステムを作り、それを提供しておいて、「基本は1分単位で賃金計算するよう指導している。」と言われても何だかなぁ、という感じですね。

サークルKサンクスだけじゃない

実は、こういうシステムを採用しているコンビニはサークルKサンクスだけではありません。

しかし、メディアからの取材に対し、違法行為が可能なシステムを構築していることを公言することは非常に珍しいと言えます。

こういうやり方で、実際に働いた分の賃金を払わないのは賃金泥棒です。

賃金は1分単位で、働いた分を正確に払うということが当たり前になってもらいたいですね!

【動画 ノーモア賃金泥棒】

弁護士・日本労働弁護団幹事長

弁護士(東京弁護士会)。旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長(2022年11月に就任しました)。ブラック企業被害対策弁護団顧問(2021年11月に代表退任しました)。民事事件を中心に仕事をしています。労働事件は労働者側のみ。労働組合の顧問もやってますので、気軽にご相談ください! ここでは、労働問題に絡んだニュースや、一番身近な法律問題である「労働」について、できるだけ分かりやすく解説していきます!2021年3月、KADOKAWAから「武器としての労働法」を出版しました。

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