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金銭トレードで移籍の捕手が1ヵ月経たずに金銭トレードで再び移籍する。それまではエンジェルス一筋

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・タイス(左)とホゼ・アルトゥーベ Jun 8, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月17日、シカゴ・カブスは、金銭と交換に、捕手のマット・タイスをシカゴ・ホワイトソックスへ放出した。

 今オフにタイスが移籍するのは、これが2度目だ。先月20日、こちらも金銭と交換に、ロサンゼルス・エンジェルスからカブスへ移った。

 それまでは、ずっとエンジェルスに在籍していた。2016年のドラフトで全体16位指名を受け、2019年の夏にメジャーデビュー。245試合に出場し、打率.208と出塁率.313、22本塁打、OPS.655を記録している。

 カブスには、来年3月に26歳となるミゲル・アマイヤがいる。メジャーリーグ2年目の2024年は、103試合でスタメンマスクをかぶった。

 まず、カブスは、アマイヤのバックアップとして、タイスを手に入れた。続いて、今月半ば、FA市場に出ていたカーソン・ケリーを2年1150万ドルの契約で迎え入れた。

 2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は、タイスもケリーも30歳だが、ケリーの通算出場はタイスの倍以上だ。バックアップの捕手を「グレードアップ」したカブスは、タイスを手放した。ケリーは、バックアップにとどまらず、アマイヤと併用される可能性もある。

 タイスは、2024年にローガン・オホッピーのバックアップを務めたが、エンジェルスは、先月中旬にトラビス・ダーノーと2年1200万ドルの契約を交わした。タイスのトレードは、2度とも、加入した捕手に押し出された形だ。

 ホワイトソックスにおけるタイスの立場は、コリー・リーのバックアップだろう。リーも、2025年のシーズン年齢は、アマイヤと同じ26歳だ。ホワイトソックスにはチャッキ―・ロビンソンもいるが、こちらはタイスと同じ年齢で、メジャーリーグ出場は2022年の25試合と2024年の26試合に過ぎない。

 ただ、タイスのバックアップの座は、安泰とは言いきれない。再建中のホワイトソックスがここからベテランの捕手を加えることはないだろうが、ホワイトソックスは、プロスペクトの捕手2人、カイル・ティールエドガー・クエロを擁する。

 ティールは、今月中旬のトレードで、ギャレット・クローシェイの交換要員4人の一人として、ボストン・レッドソックスからホワイトソックスへ移籍した。クエロは、昨年の夏にエンジェルスがルーカス・ジオリト(現レッドソックス)とレイナルド・ロペス(現アトランタ・ブレーブス)を獲得した際、カイ・ブッシュとともにエンジェルスからホワイトソックスへ移った。

 ティールとクエロは、どちらも、この夏にAAからAAAへ昇格している。ティールは、計112試合で打率.288と出塁率.386、13本塁打、OPS.819。クエロは、計98試合で打率.280と出塁率.366、16本塁打、OPS.829を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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