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公式戦10連勝。勢いに乗るINAC神戸レオネッサが過去7大会で6度目の皇后杯決勝へ(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
2連覇を狙うINAC(C)松原渓

12月23日に行われた皇后杯準決勝、INAC神戸レオネッサとベガルタ仙台レディースの一戦は、INACが3-1で勝利し、2年連続決勝進出を果たした。

試合後の監督・選手コメント(INAC)。

公式戦10連勝。勢いに乗るINAC神戸レオネッサが過去7大会で6度目の皇后杯決勝へ(1)

【監督・選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

松田岳夫監督

ーー試合を振り返っていただけますか?

厳しいゲームになることは十分に分かっていましたし、1点を争うゲームになることも想定してプランを立てました。いい時間帯に得点を奪えたことで有利に試合を進められて、後半は「もう1点取りに行こう」と選手たちを送り出しましたが、相手のプレッシャーに負けて、リズムを崩してしまいました。最後のプレッシャーがかかった中で、今年継続してきたことをやりきれなかったことが、延長戦までいってしまった要因だと思います。最後はハードワークの部分で少し相手に勝ったのかなと考えています。

ーー2ゴールを挙げた京川選手を投入した意図と、評価をお願いします。

本来、スタートから出るべき力は持っています。本来は左サイドをやることが多いのですが、対戦相手を考えた時に彼女をどう生かすかを考えて、今日は道上(彩花)でスタートしました。

京川の良さは、左サイドでの突破だけでなく、真ん中のポジションもできて、攻撃的なFWも出来る。変化に対応できる選手なので、あらゆる場面を想定して一番良いと思うタイミングで起用しました。

ーー途中から入った比較的若い選手が力を発揮していますが、ああいう世代の選手たちに今後求めるところはどのようなところですか?

今、身につけている技術とか判断は高いと思いますが、ただ、一つはフィジカル的な部分で、単純に走るだけでなく、1対1の当たりであるとか、相手と1対1をした時になぜか自分の方にボールが来るといった、強さの部分では物足りなさを感じます。それから、プレーはいいものを持っているのに、発揮できない。プレッシャーがあればなおさらですし、どうしても持っている技術をを発揮しきれないところが、若い選手に共通していると思います。せっかく持っているから出せばいいのですが、簡単なことがなかなかできない。いろいろな要因があると思いますが、僕自身ジレンマを感じますし、もっとのびのびやってもらいたいと思っています。

ーー後半、チョ・ソヒョン選手がDFに入って5枚で守っていたように見えました。どのような指示を送っていたのでしょうか?

センターバックの間に下げたかったわけではありません。4枚で守りたかったですし、中盤の4枚と後ろの4枚の間に入って、「後ろに対してもいろんなサポートをして欲しい」という意図でしたが、相手のスピードとか、ポストプレーや背後のコンビネーションを防ぐために、意図的に下げたというよりは、選手たちが下がってしまいました。ただ、その中で彼女が下がった部分を前の選手が埋めていけたので、守備的に見えたかもしれないですが、守備のバランス的には良かったと思います。

ーー決勝戦の対戦相手の新潟の印象を教えていただけますか?

相手がどこでも、やりにくくもあり、関係ないとも言えます。まず自分たちのサッカーをやるという点では変わりません。昨年は澤の引退もありましたし、みんなの澤への思い、澤のみんなへの思いがチームとして一つになってああいう結果(優勝)になったと思います。今年はそれぞれが戦って決勝の舞台まで来られたので、昨年と今年で勝ち得ようとしているものは同じかもしれませんが、チームとしては成長した証だと思います。新潟は、守備が非常に良いと思います。全員の連携や距離感がよく、中央に入れさせない守備ができて、そこからFWの選手が起点になり、上尾野辺選手の個人技が活きる。守備では全員の意識が統一して、攻撃のところではそれぞれの特徴が良く出ているという印象です。

DF 鮫島彩

ーー今日の結果を振り返っていかがですか?

負けたら終わりの大会なので、なるべく失点は抑えたいと考えました。仙台はロングボールやクロスがあるので、いつも以上にDFラインの横の距離感を縮めて、カバーリングも意識していました。自分たちがボールを奪った後に雑になってしまうところが目立ったのは修正点です。

ーー決勝戦は2年連続で新潟との対戦となりますが、どのようなメージを持っていますか?

もちろんリーグでも嫌な相手ですけれど、守備が堅く、一発勝負に強いので、ペナルティエリア付近の攻撃では特に工夫が必要だと思います。パスを出したら動くとか、基本的なことですけれど、動きがなくなるとアイデアもなくなるし、長い時間ボールを持つと相手に寄せられるシーンも増えると思うので、なるべく流動的に、サイドバックですけれど、縦の長い動きは積極的に入れていきたいと思います。

ーー去年と今年の決勝は、どのように違いますか?

去年は澤さんの引退があって、それによるサポーターの後押しもありました。ただ、来年も(今年と)同じチームでやるわけではないので、(今年のチームはこれで)最後という思いがあります。それから、2年間松田監督のもとでやってきて、1年目にできなかったことで、今年はできるようになっていることをしっかり出したいです。

(3)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】(3)【選手コメント(INAC神戸レオネッサ)】

(4)【監督・選手コメント(ベガルタ仙台レディース)】

に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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