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公式戦10連勝。勢いに乗るINAC神戸レオネッサが過去7大会で6度目の皇后杯決勝へ(4)

松原渓スポーツジャーナリスト
”準決勝の壁”を破ることはできなかった(C)松原渓

12月23日に行われた皇后杯準決勝、INAC神戸レオネッサとベガルタ仙台レディースの一戦は、INACが3-1で勝利し、2年連続決勝進出を果たした。

試合後の監督・選手コメント(仙台L)。

公式戦10連勝。勢いに乗るINAC神戸レオネッサが過去7大会で6度目の皇后杯決勝へ(1)(2)(3)

【監督・選手コメント(ベガルタ仙台レディース)】

千葉泰伸監督

ーー本日の試合を振り返っていただけますか?

3年連続で準決勝に進出して、負ける気はしませんでしたが、結果的に準決勝の壁を破れず、非常に残念です。90分間の中では決定的なチャンスは多かったと思います。それを決め切る強さを、今シーズンを通して持てませんでした。延長前半は勢いを持てると思いましたが、逆に押し込まれる形になりました。ファーストチャンスを作ったのはうちでしたが、チャンスを決めていれば違った展開になったと思います。あとは、思った以上にINACさんの厳しい守備や攻撃に対して、我々の選手たちの消耗が激しく、足が止まってしまいました。ただ、選手たちは最後までアグレッシブに、勝利を目指して戦ってくれました。

ーー川村選手を下げた狙いと、その評価についてはいかがですか?

川村を下げて後ろは安定しましたが、縦への攻撃の推進力がなくなりました。サイドアタックを仕掛けてINACのスペースを突いていくという狙いがあったのですが、真ん中で前へ行く回数が減ってしまいました。佐々木も岸川も、どちらかといえばディエフェンシブな選手なので、そこでチャンスを作ることができませんでしたね。

ーー監督として、5年間で一番印象深い出来事は何ですか?

これだ、ということは挙げればたくさんあります。一番悔しい思いをしたのが今日です。

ーー仙台の大勢のサポーターに向けて、メッセージをお願いします。

東日本大震災が起きて、マリーゼから移管して、初代監督として5年間、今日までやってきました。本当に温かいご声援を送ってくださいましたし、力強いサポートをしてただきました。心から感謝しています。

MF 川村優理

ーー途中でセンターバックに入りましたが、今日の試合を振り返っていかがですか?

センターバックは代表でもやっていますし、自分のところでボールを落ち着かせて、マイボールの時間を長くしたかったです。自分たちのペースでボールを動かせていた中で、最後のチャンスを決め切れなかったことが悔しいです。皇后杯は一発勝負ですが、こういうところで力を発揮できる選手が強いと思いますし、自分たちはまだまだ力不足だと感じます。自分も含めて、みんなが成長しなければいけないし、成長できると思います。そのためにもこの悔しさを忘れてはいけないし、来年、さらに頑張りたいですね。

ーー(退任する)千葉監督にどのような言葉を伝えたいですか?

自分は、感情をすごく表に出す選手で、監督としては難しい選手だったのではないかと思います。その中で、自分をこうしてチームの中心だと言い続けてくれて、自覚も芽生えましたし、信頼して使い続けてくれたことに本当に感謝しています。

ーー今年は代表やチームで、どのような役割を意識していましたか?

代表とチームでは立場も違いますが、チームでは若い選手を含めて、みんながサッカーしやすい環境を作っていかなければいけないと感じていました。みんなが上手い具合にいく(団結する)ために、我慢している選手もいたと思いますし、そういう選手がいたからこそ、試合に出ている自分たちがピッチで表現できたと思います。本当にいいチームでした。

ーー来年に向けて、個人的に成長したい部分を教えてください。

こういう難しい試合になった時に、もっとチームを引っ張っていったり、ワンプレーでチームの雰囲気を変えられるような選手になりたいと思います。

DF 佐々木繭

ーー今日の敗因はどのようなところでしょうか?

ここからという時にギアをもう一段階上げて、畳み掛けて勝負を決められれば良かったですが、延長にもつれ込んでしまって、決めるところで決めるというところでまだまだだったと思います。

ーーバーを直撃したミドルシュートもありましたが、攻撃面ではどのような役割を意識していましたか?

ポジションが変わってすぐにフィットできませんでした。もっとボールを簡単に捌ければ良かったです。後半はタッチ数を少なくできましたが、中盤をぽっかり開けてしまってカウンターされたところが反省点です。

ーー3年連続超えられなかった準決勝の壁は、具体的にいうと、どのような壁だったんでしょうか?

この西が丘のピッチでやることはいつもと違う雰囲気ですし、一発勝負でまだ決勝に行ったことがないという壁がありました。今年は一つでもタイトルを獲りたいと思ってスタートしたので、この壁をまず超えなければいけないというプレッシャーがあったのだと思います。

DF 高良亮子

ーー後半押し込んでいましたけれど、焦りはなかったですか?

自分たちが前目でやっている感じはしましたけれど、なかなか良い形はなかったので、そこが課題かなと思いました。いつも、相手のミスから自分たちが得点することが多く、自分たち主導で攻撃を組み立てることができていなくて、セットプレーに頼ってしまいますね。

ーー今年の成長を踏まえて、来年はどのようなところを伸ばしたいですか?

来年は監督やコーチが変わって、チームが新しくなるので、どういう風に転ぶかは分からないのですが、楽しみです。チームとしては組織としての連帯の部分を強化していきたいと思います。今日のようなアクシデントがある中で、誰がどこのポジションをやってもできるように。個人としては、ボールを持てることが売りなので、ボールを奪われる部分を少なくしていきたいと思います。

DF 市瀬菜々

ーー無念な形での途中交代だったと思いますが、試合を振り返っていただけますか?

ケガで途中交代してしまったことに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ーー1年目から主力として定着しましたが、ご自身のご自身のプレーを振り返って、いかがですか?

シーズンを通しては、勝てる試合で失点してしまったり、自分のミスで負けた試合もあったので、来シーズン挽回できればいいなと思います。今日は優理さんが途中からセンターバックでプレーしていましたが、ビルドアップが上手だったので、そこを見習いたいですね。守備面では、負けない強さを付けていきたいです。

ーーチームとしては、いかがですか?

今日も途中で追いつきましたが、終盤に強いところは魅力だと思います。来年はもっと失点を減らすことと、チャンスをしっかりとものにすることです。来年はもっと得点も狙っていきたいですね。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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