ノート(256) 就労支援よりも福祉的支援が求められる受刑者のための施策
~釈前編(16)
受刑380/384日目(続)
福祉的支援を要する受刑者
この日は、3本目として「年金と暮らし」というタイトルのVTR教材を視聴した。国民年金や生活保護の制度などについて解説したものだった。これまで述べてきたとおり、犯罪者の改善、更生や社会復帰を促進するためには、きめ細やかな就労支援が極めて重要だ。
しかし、本人の「やる気」とは全く無関係に、その網から漏れる受刑者も多い。高齢であったり、精神や身体に障害や疾病を抱えていたりし、自立が困難であるにもかかわらず、身寄りがないという受刑者だ。満期出所者の約7割が障害や疾病などによって精神・身体上の配慮を要する者だし、そうした問題を抱えているか否かを問わず、65歳以上の満期出所者の約7割が5年以内に刑務所に舞い戻ってきているという現実もある。
刑務所は社会の縮図だから、社会全体が高齢化するのと比例し、刑務所の中も高齢化する一方だ。心身に障害や疾病を抱えた受刑者も増えている。取り急ぎ彼らに求められるのは就労ではなく、福祉的支援にほかならない。刑務所も、再犯防止に向けて取りこぼしがないように、彼らを福祉サービスに繋げるための様々な施策を実施している。
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