多種多様な味が揃う京都のラーメン

　京都は古くからラーメン文化が根付く、知る人ぞ知る「ラーメンの都」だ。戦後の屋台から続く人気の老舗がいくつもある一方で、革新的で個性的なラーメンを提供する店も年々増え続けている。京都のラーメン文化は「伝統と革新」の両方を兼ね備えた、全国でも稀有な存在と言えるだろう。

　長かったコロナ禍も一段落して、春の京都には多くのインバウンド客や観光客が押し寄せ賑わいをみせている。今年に入ってからも個性的なラーメンを提供する新店が続々と登場している。京都のラーメンを食べ歩く上で、この春に食べておくべき個性豊かな新店３軒をご紹介しよう。

鶏の旨味あふれる優しい味わい『ラーメンカタムキ』（七条）

　2024年2月、七条大橋西側のたもとにオープンしたのが『ラーメンカタムキ』（京都府京都市下京区稲荷町447-2）。京都らしい京町家を使った店舗は、洋風の椅子やテーブルが置かれて独特な空間に仕上がっている。こちらのラーメンは「鶏出汁」「鶏白湯」を二枚看板に据え、さらに「ヴィーガン」や「ハラルフレンドリー」もあり、インバウンドを意識したメニュー構成になっている。

　基本のラーメンである「鶏出汁しょうゆ」は、国産の丸鶏と鶏ガラ、モミジを使ったスープに数種類の老舗醤油蔵の醤油を使った醤油ダレを合わせ、優しい味わいに仕上げている。塩分濃度を抑えたバランスになっているので、最後までスープを飲み干すことが出来る。

　鶏チャーシューは厚めに切られた鶏胸肉のレアチャーシューと、柚子七味風味のレアチャーシュー、しっかり火入れして炙ってある鶏もも肉チャーシューの３枚が乗り、食感や味の違いを楽しめる。麺は地元の人気製麺所『麺屋棣鄂』による「きたほなみ」全粒粉麺で、小麦の香りとしなやかな食感を楽しめる。

超濃厚豚骨と野菜の組み合わせ『麺屋 一麺専心』（千本丸太町）

　2024年3月、ラーメン激戦エリアの千本丸太町にオープンしたのが『麺屋 一麺専心』（京都府京都市上京区小山町877-2）。店内にはカウンターの他にテーブル席も多く、家族連れやグループ客にも使いやすい。こちらでは「超濃厚豚骨」と「鶏白湯」の２種類のラーメンを提供。チャーハンや餃子、唐揚げなどもセットで楽しむことが出来る。

　「超濃厚豚骨らーめん」は良質な豚骨だけを炊き上げたスープが圧巻。混じり気のない豚骨の骨感や髄感がありながら、しっかり丁寧に漉されているため口あたりはマイルドでしつこさは皆無。麺は『麺屋棣鄂』製の中細麺で、もちっとした食感は濃厚なスープに負けない存在感がある。

　ユニークなのはラーメンとは別皿で温野菜が提供されること。若い学生やサラリーマンなどに野菜を摂取して欲しいという思いから。卓上にあるラー油や塩などを使ってサラダ感覚で食べるもよし、ラーメンの上にドカンと乗せてガッツリ系ラーメンのように楽しむもよし。

牛骨のまろやかな旨味を感じる『京都牛骨塩白湯 ハリちゃん』（三条）

　2024年3月、河原町三条にオープンした『京都牛骨塩白湯 ハリちゃん』（京都府京都市中京区大黒町46-2）は、「京都牛骨塩白湯」を謳う新店。河原町から東に入った通りに佇む、白を基調にした清潔感のある空間。祇園に本店を構え店舗を展開している韓国冷麺店『アジョシ』が手掛けており、「牛骨塩白湯」の他には「濃厚醤油牛白湯」や「まぜそば」も揃う。

　看板メニューの「牛骨塩白湯」は、きめの細かな泡が浮いた牛骨スープが特徴的。クリーミーかつ滑らかな口あたりでしつこさは皆無。牛骨ならではのコクと甘味のある白湯スープの味わいは、豚骨や鶏白湯では味わえないものだ。卓上にある黒胡椒は牛との相性が良いマストアイテム。ニンニクや辛味噌で自分好みの味にカスタマイズするのも楽しい。

　今回ご紹介した３軒は、いずれも今年オープンしたばかりの新店ばかりだが、非常にクオリティの高いラーメンを提供している。京都の今のラーメンシーンを語る上では欠かせない店ばかりなので、お花見がてらぜひ足を運んで頂きたい。

※写真は筆者によるものです。

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