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アーロン・ジャッジらの代替選手として、吉田正尚がオールスターに選ばれる可能性はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
吉田正尚(ボストン・レッドソックス)Jun 30, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 オールスター・ゲームのメンバーに、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、選ばれなかった。

 ただ、ア・リーグのロースターに名を連ねる32人のうち、先発投手のシェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)、外野手のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)とヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)は、故障者リストに入っている。3人とも、前半戦の復帰はないだろう。

 ジャッジやアルバレスに代わり、吉田がロースターに加わっても――7月1日の死球が大事に至らなければ――おかしくない気がする。レイズ、ヤンキース、アストロズは、他にも選出されている選手がいる。

 パワーという点からすると、9本塁打の吉田は選ばれそうにない。ただ、出塁率.377は、ア・リーグで5番目に高い(7月2日時点)。吉田の上にいる4人のうち、オールスター・ゲームのメンバーに選ばれていないのは、ライアン・ノーダ(オークランド・アスレティックス)だけだ。

 吉田と同じくメジャーリーグ1年目のノーダは、打率こそ.229ながら、4位の出塁率.384を記録している。57四球と四球率18.9%は、どちらもリーグ1位。20年前にデビューしていれば、「マネー・ボールの申し子」と呼ばれていたかもしれない。ホームランは8本、OPSは.784だ。

 また、吉田のOPS.854は、リーグ8位に位置する。こちらも、その上の7人中、三塁手のイサック・パレイデス(レイズ)を除く6人は、オールスター・ゲームのロースターに入っている。

 代替選手は、元の選手と同じポジションとは限らないものの、ロースターの構成を考えると、同じポジションのほうがスムースな入れ替えとなる。吉田がジャッジとアルバレスと同じ外野手であるのに対し、ノーダは一塁手、パレイデスは三塁手だ(アルバレスは、DH出場のほうが多い)。

 もっとも、吉田以外の外野手も、代替選手の候補になり得る。例えば、エステウリー・ルイーズ(アスレティックス)やフリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)がそうではないだろうか。

 ルーキーのルイーズは、両リーグ最多の42盗塁を記録している。新ルールの「追い風」を受けているとはいえ、その数は特筆に値する。

 ルイーズについては、こちらで書いた。

「81試合で40盗塁のスピードスターは、ルーキーの盗塁記録を更新し、新人王を受賞するのか」

 ロドリゲスは、新人王を受賞した昨シーズンと比べると、「2年目のジンクス」に嵌まった感もある。それでも、昨シーズンに続き、今シーズンも25-25に到達しそうなペースだ。ここまで、13本塁打と19盗塁。ア・リーグでどちらも13以上の選手は、他にはいない。

 しかも、今年のオールスター・ゲームは、マリナーズの本拠地で開催される。今のところ、マリナーズから選ばれている選手は、先発投手のルイス・カスティーヨしかいない。ロドリゲスは、ホームラン・ダービーに参加することを、いち早く表明している。

 なお、マリナーズと同様に、レッドソックスからの選出も1人。クローザーのケンリー・ジャンセン以外は皆無だ。各チーム1人きりの「ローン・オールスター」については、こちらで書いた。

「過半数のチームは、オールスターに1人しか選ばれず。タイガースからはロレンゼンが選出」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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