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エスコンフィールド北海道が人気沸騰の中、苦境に立たされている札幌ドーム #専門家のまとめ

阿佐智ベースボールジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 昨年開場した北海道日本ハムファイターズの新本拠地、エスコンフィールドが単なる野球場にとどまらない新たな北海道の名所として予想を上回る観光客を集めているのとは対照的に、旧本拠地だった札幌ドームは苦境に立たされている。先日運営会社の株主総会が行われたが、ここで予想をはるかに上回る6億円超の赤字が発表された。この運営会社は、ドームの「持ち主」である札幌市の第3セクター。ファイターズという大きな「店子」を失った「箱もの」の今後が気になる。

ココがポイント

▼運営会社社長の口からは「見通しが甘いという意見には抵抗がある」という言葉が

「プロ野球やらせてくれないのでね」 札幌ドーム、赤字6.5億円(毎日新聞)

▼地元メディア、市民も冷ややかな視線

札幌ドームの赤字額は“6億5千万円超”と想定の2倍以上…ファイターズ移転で不振が続く巨大施設に未来はあるのか?(HBC北海道放送)

▼競輪への転用というアイデアも

窮地の札幌ドームに〝競輪待望論〟が再燃 「札幌競輪場、人気でる」(東スポWEB)

▼先日まで行われていたセ・パ交流戦では、普段ここを使わないセ・リーグの選手から新球場、エスコン・フィールドが絶賛されていた。

【セ・パ交流戦】セ球団に人気の球場は北海道エスコンフィールド「2軍の選手が…」「球場の雰囲気」(スポニチアネックス)

エキスパートの補足・見解

 札幌ドームの開場は2001年。もともとはサッカーワールドカップの会場として建設された。2004年にファイターズが東京から移転してきたのだが、「ワールドカップ後」の施設維持が課題だった所有者の札幌市にとっては、ファイターズはまさに救世主だった。その救世主だったファイターズとウィンウィンの関係を築く努力をせず、結局は出ていかれることになった市当局の姿勢は責任を問われるべきだろう。

 現在は、サッカーのコンサドーレのホームとして使用されているが、試合数の少ないサッカーでは広告的価値も低いのか、ネーミングライツスポンサーも確保できていないのが現状である。開場から23年という年月を考えると、今後、修繕をしてまで維持する施設ではないだろう。今回の赤字は内部留保を切り崩して穴埋めするようだが、その内部留保が切れた時点で大きな決断をすべきように思える。

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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