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フィリーズが先発投手と長期契約は昨オフから数えて3人目。彼らに続いて防御率1点台のスアレスも!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
レンジャー・スアレス(フィラデルフィア・フィリーズ)Apr 27, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月22日、フィラデルフィア・フィリーズは、クリストファー・サンチェスと延長契約を交わしたことを発表した。2025~28年の4年契約に、2029年と2030年の球団オプションがついている。

 ジ・アスレティックのマット・ゲルブによると、契約は4年2250万ドル、球団オプションは年俸1400万ドル(2029年)と年俸1500万ドル(2030年)だ。サイ・ヤング賞の投票でトップ10に入ると、オプションの金額はアップするという。

 サンチェスは、27歳の左投手だ。今シーズンはメジャーリーグ4年目だが、契約を延長する前の時点で、FAになるのは2028年のオフだった。フィリーズは、オプションを2度とも行使すると、それよりも2シーズン長く保有できる。

 昨年11月から数えて、フィリーズが長期契約を交わした先発投手は、サンチェスが3人目となる。1人目は、11月にFAとなったアーロン・ノラと7年1億7200万ドル(2024~30年)の再契約。2人目は、3月にザック・ウィーラーと3年1億2600万ドル(2025~27年)の延長契約だ。ウィーラーは、今オフに5年1億1800万ドル(2020~24年)の契約が満了する。

 現在のローテーションには、この3人とともに、レンジャー・スアレスタイワン・ウォーカーが並んでいる。今シーズンの防御率は、スアレスが1.75(92.1イニング)、ウィーラーが2.73(99.0イニング)、サンチェスが2.91(77.1イニング)、ノラが3.54(94.0イニング)、ウォーカーは5.60(53.0イニング)だ。

 ウォーカーは、4年7200万ドル(2023~26年)の契約2年目。サンチェスと同じく左投手のスアレスは、2025年のシーズン終了後にFAとなる。今シーズンの年俸は、505万ドルだ。8月下旬に29歳の誕生日を迎える。

 サンチェスと同水準の契約でスアレスを引き留めることは、まずできないだろう。サイ・ヤング賞を受賞すれば――このままいけば、そうなる可能性は高い――契約に必要な金額は、さらに増えるはずだ。とはいえ、スアレスは、ノラやウィーラーほどの実績を持たない。シーズン先発20登板以上は、2022年と2023年の2度。2022年は先発29登板の155.1イニングで防御率3.65、2023年は先発22登板の125.0イニングで防御率4.18。ただいまブレイク中、といったところだ。

 また、フィリーズが総額1億ドル以上の契約を交わしている選手は、ノラとウィーラー以外にも4人を数える。それぞれの契約は、一塁手のブライス・ハーパーと13年3億3000万ドル(2019~31年)、遊撃手のトレイ・ターナーと11年3億ドル(2023~33年)、捕手のJ.T.リアルミュートと5年1億1550万ドル(2021~25年)、外野手のニック・カステヤノスと5年1億ドル(2022~26年)だ。

 フィリーズは、スアレスにも、契約の延長を持ちかけるだろう。けれども、スアレスが受け入れるような契約は、提示できないかもしれない。

 ちなみに、フィリーズには、プロスペクトの先発投手、アンドルー・ペインターミック・エイベルがいる。2021年のドラフト全体13位と2020年の全体15位だ。ただ、ペインターは、昨年の夏にトミー・ジョン手術を受けた。エイベルは、今シーズン、AAAで防御率6.93を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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