時代でこんなに違うものなのか。Jリーグ30年・韓国選手288名の特徴【図で比較】
Jリーグ創設の1993年からリーグ創設30年となった2023年まで、数多くの韓国人選手(日本で生まれ育った在日韓国人選手は含まず、出身地を韓国にする選手たちのこと)が日本にやってきた。
その数、288名。そのうち149名が日本でプロになっていたことや、ポジションで最も多かったのはDF(100名)であったことなどもわかったが、「30年・288名」の統計だけではわからない韓国人Jリーガーの特徴がある。
(参考記事: 【日韓初】Jリーグ30年・韓国人Jリーガー全288名の統計をとってわかったこと)
そこで制度やルール、特定の出来事などによって、いつかの時期に分かつことでより細分化された韓国人Jリーガーの特徴を調べてみた。大きく4つの時代区分に分けることによって明らかになった韓国人Jリーガーの特徴とは―。
韓国人Jリーガー第1期(1993年~2002年) の特徴
1993年に韓国人Jリーガー第1号となるノ・ジョンユンに始まり、2002年に初の高卒選手としてジュビロ磐田と契約するキム・グンチョルまで、25名が来日していた。
そのうち韓国代表経験者は20名。また、Kリーグの年間MVP経験者5名(コ・ジョンウン、ホン・ミョンボ、キム・ヒョンソク、チェ・ヨンス、アン・ジョンファン)、Kリーグベストイレブン経験者9名(コ・ジョンウン、ホン・ミョンボ、キム・ヒョンソク、チェ・ヨンス、アン・ジョンファン、ハ・ソクジュ、ファン・ソンホン、ユ・サンチョル、キム・ドフン)、Kリーグ新人王経験者2名(コ・ジョンウン、チェ・ヨンス)、Kリーグ得点王経験者3名(キム・ヒョンソク、ユ・サンチョル、キム・ドフン)と、プロとしても一流選手が多かった。
(参考記事:今だからこそ知りたい!! 韓国人Jリーガー、あの人たちは“いま”)
Jリーグでもファン・ソンホンが得点王(99年)、ホン・ミョンボがベストイレブン(00年)に輝いている。
なお、Jリーグでプロになった選手は6名、来日後に韓国代表になった選手は1名だった。 以下の図にあるようにKリーグからの移籍が最も多く、ポジションではMFとFWが多かった。平均在籍年数は3.28シーズンだった。
韓国人Jリーガー第2期(2003年~2008年)の特徴
コ・ジョンス(03年)、チェ・テウク(05年)、キム・ナミル(08年)などワールドカップ経験者からU-23代表、U-20代表の主力格まで、30名が来日していた。
そのうち韓国代表経験者は10名。また、Kリーグの年間MVP経験者は1名(コ・ジョンス)、ベストイレブン経験者は2名(コ・ジョンス、キム・ナミル)だった。
一方、Jリーグでプロになったのは16名。来日後に韓国代表になった選手は6名だった。
03年にパク・チソン、06年にアン・ジョンファン、08年にオ・ボムソクがJリーグからヨーロッパのクラブに移籍した。08年に来日したパク・チュホも11年にはスイスのクラブに移籍している。Jリーグを経由してヨーロッパに進出する選手が出始めた時期だったと言えるだろう。
下の図にあるようにKリーグからの移籍と高校・大学からの移籍が同等に近くなり、ポジションとしてはMFが多かった。平均在籍年数は2.97シーズンだった。
韓国人Jリーガー第3期(2009年~2015年)の特徴
130名の選手が来日していたことがわかった。
そのうち代表経験者は16名。また、Kリーグでの年間MVP経験者は1名(イ・チョンス)、ベストイレブン経験者は5名(イ・チョンス、イ・グノ、イ・ホ、チョ・ウォニ、キム・チャンス)、新人王経験者は1名(イ・チョンス)と、プロでの実績を持って来日する選手は少なかった。
ただ、U-23代表、U-20代表、U-17代表など育成年代での代表経験者が多く、U-23代表経験者は43名。そのうち16名がオリンピックを経験していた。来日後にA代表に選ばれている選手が17名もいた。
Jリーグでプロになったのは76名。そのうち10名がワールドカップに出場するまでに成長していた。キム・ボギョン、キム・ジンスら欧州クラブに移籍する選手もいた。
図にあるように大学を中退もしくは卒業してJリーグにやってきた選手が多く、ポジションとしてはDFが最も多かった。平均在籍年数は3.09シーズンだった。
韓国人Jリーガー第4期(2016年~2023年)の特徴
103名の選手が来日していた。そのうちJ1リーグでプレーした選手は32名で、J2・J3でのみの選手が50名を超えていた。
来日前に韓国代表を経験していたのは19名。そのうちGKが4名と多いのが特長的。ただ、来日後に韓国代表になったのは1名しかいない。また、Kリーグのベストイレブン経験者は3名(ハ・デソン、キム・スンギュ、クォン・スンテ)だった。オリンピックなど育成年代の国際大会経験者の数が少ないのも特徴だった。
時代で異なる韓国人Jリーガーの特徴
このように韓国人Jリーガーたちを時代区分別に分類して統計を取ってみると、いくつかの違いがあることがわかった。
まずはその人数だ。第1期、第2期は二桁だったが、第3期から三桁になっていた。30年間で288名が来日していたが、そのうち233名が2009年以降の来日だった。
また、第1期ではKリーグや韓国代表などでも活躍した「実績のあるスター選手」が多かったが、第2期から次第に大卒選手が増えていき、第3期になると高卒や大学を中退して日本でプロになる選手が70名以上もいたことが明らかになった。
当然、来日前から代表クラスだった比率も第1期では全体の80%を占めていたが、第2期では33%、第3期では12%に落ち込んでいる。平均年齢も下がっており、第3期になると24歳以下が全体の80%を占めていた。
こうした若年化の流れは第4期にも続いており、第3期と第4期では来日後に韓国代表に成長した選手数で大きな違いがあった。
第3期では育成年代での代表経験者の数が全体の34%(44名)だったが、第4期でのそれは29%(29名)と落ち込んでいる。すべての期を含めて最低レベルにあった。
第4期、つまり現在はプロや代表での実績もない「低年齢・無実績」選手がさらに増えていたことがわかった。
実際、昨今はJ1よりもJ2やJ3でプレーする選手のほうが多く、在籍1年でJリーグを去っていく選手も多い。2022年は47名が1年未満でJリーグを離れていることも判明した。
かつては代表クラスも多かったが、近年では「低年齢・無実績」の選手たちが増えている。日本に来る韓国人選手の特徴、実力、実績はこの30年で変化したことは明らかだろう。