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【パラアイスホッケー】日本が選手を増やす切り札は、ズバリ「ローラースレッジホッケー」だ!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
コナー・マクデイビッド(右)(Courtesy:@CTJumpstart)

 3月に行われたピョンチャン(平昌)パラリンピックパラアイスホッケー(スレッジホッケー)で、カナダとの死闘を制し、金メダルを勝ち取ったアメリカは、独立記念日の祝日が明けた昨日(現地時間)今季のヘッドコーチ(HC)に、デイビット・ホフ(50歳)が就任したと発表しました。

▼新たな指揮官は数学の先生

 ピョンチャン パラリンピックでアシスタントコーチを担い、参謀役として金メダル獲得に貢献した実績を買われたホフは、以前からアメリカ代表の指導に携わり、国際大会で指揮を執ったり、チームスタッフを務めるなど、7季にわたって尽力してきました。

 その一方で、ノースダコタ州の高校で数学の教師として働きながら、同校のアイスホッケーチームのコーチの指導にも長年携わり、全米の高校スポーツチームの優秀な指導者に与えられる「NHSACA コーチオブイヤー」の候補に名を連ねています。

デイビット・ホフ(Courtesy:@nhsaca)
デイビット・ホフ(Courtesy:@nhsaca)

▼競争を勝ち抜かなくてはならない!

 ホフHCの初仕事となるのは、来週末にウィリアムズビル(ニューヨーク州)で開催する「トライアウトキャンプ」。

 ピョンチャン パラリンピックの金メダルメンバー14人を含む60人以上の選手たちが集まり、代表入りを目指して競い合います。

 アメリカに限らず、ライバルのカナダ(ピョンチャン パラリンピック銀メダル)も、同様にナショナルチームのメンバーとしてプレーするためには、激しい競争を勝ち抜かならないのです!

▼日本は「選手を探せ!」

 一方、2大会ぶりの出場を果たしたピョンチャン パラリンピックで、白星を手にすることができなかった日本代表も、手をこまねいているわけではなく、今月から始まった新しいシーズンに先駆けて、各地でパラアイスホッケーの体験会を実施。

 選手を振るい落としながら、代表メンバーを決めていくアメリカやカナダとは対照的に、競技人口が少なく、パラリンピックや世界選手権の出場資格を得られる「選手を探せ!」というのは、容易ではありません。

 それを物語るように、パラリンピックでゴールを守った”フクちゃん”こと、福島忍氏(昨季をもって現役引退を表明)は、61歳にして守護神の座を担っていたほどです。

▼アメリカ、カナダと日本の大きな違いは?

 前述したアメリカや、ホッケー大国と呼ばれるカナダでは、「アイスホッケー」と「パラアイスホッケー」は、誰もが同じ「ホッケー」だと、当然のように認識されています。

 昨季のアートロス トロフィー(最多ポイント賞)を手にした コナー・マクデイビッド(エドモントン オイラーズFW・21歳/タイトル写真右側)らNHLのスター選手たちも、オフの間などを利用して、パラアイスホッケーを楽しむ姿が見られるほど。

 また、国際大会に出場するナショナルチームをはじめとする競技の統括団体も、日本とは違って、USAホッケーやホッケーカナダが、ともに統括運営しています。

▼アメリカ、カナダとの大きな違い

 さらに加えて日本では、選手たちがプレーをする際に使うスレッジ(スケート刃のついたソリ)を使うのに支障がある(例:リンクの氷面が傷むこともあるので利用許可が下りない。大きな段差などがあり下肢に障害のある選手たちの移動が難しい etc)パラアイスホッケーの練習や試合に利用可能なリンクは、多いとは言えません。

 しかも、都市部を中心にリンクの貸切利用の稼働率は高く、深夜や早朝が大半とあって、体験会を開いて興味を持った選手も、パラアイスホッケーを続けていくのは容易ではなく、これがアメリカ、カナダをはじめとする強国との大きく異なる点だと言えるでしょう。

▼日本が選手を増やす切り札は?

 このような背景がある中で、日本はどうやって普及と強化を進めていくのか?

 そのヒントとなりそうなスポーツが、アメリカの病院で見られました。

 ピョンチャン パラリンピックでMVPに輝いたデクラン・ファーマー(FW・20歳)ら、韓国行きを間近に控えたアメリカ代表の17選手が、シカゴ(イリノイ州)のリハビリテーション施設を訪れ、こんなスポーツにトライ!

▼ローラースレッジホッケー!

 アイスホッケーに代わるローラー(インライン)ホッケーと同様に、パラアイスホッケーに代わる「ローラースレッジホッケー」

 これであれば、リンクを貸し切る必要もなく、フラットな床があればOK。

 パラアイスホッケーのスティックの先端についているスレッジを漕ぐ際に使うピック(小さな突起)もないため、床面を深く傷つける心配もありません。

 何より大きくて重い防具をつけずに、数人が集まってプレーすることも可能!

 これならプレーを始めるにあたっての障壁も高くないため「トライしてみようか」という声も聞こえてきそう。

 ”代用品”と思われるかもしれませんが、「日本がパラアイスホッケー選手を増やす”切り札”になり得る!」と思うのは、筆者だけでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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