東京ステーションホテル フレンチトースト物語
フレンチトーストが人気
「グルメブーム、2014年の振り返りと2015年の展望」でも挙げましたが、去る2014年ではフレンチトーストも人気を博していました。パンケーキほどには定番にならず、かといって、かき氷に比べると爆発力もありませんでしたが、未だにポストパンケーキの呼び声は高く、勢いもあります。
その勢いを証明するように、有名なフレンチトーストをざっと挙げただけでも以下の通りあります。
- オーキッドルーム
ホテルオークラ東京の伝統スイーツ
虎ノ門
- パンとエスプレッソと
フライパンに載ったベーカリーのフレンチトースト
表参道
- サラベス
「ニューヨークの朝食の女王」の定番メニュー
新宿、代官山
- マーサーブランチ
終日フレンチトーストを提供するオールデイブレックファストカフェ
六本木、恵比寿
- ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ
ココットに入れられたフレンチトースト
日比谷
- STFARZ(ストファーズ)
天然酵母を使用ており、ヘルシー
池袋
- アイボリッシュ(Ivolish)
福岡の人気店が上陸
渋谷、2014/04/20
- アール フリッターズ(R-FRITTERS)
フレンチトーストと揚げパンを組み合わせている
下北沢、2015/2/25オープン
このように様々なフレンチトーストがありますが、最近特に力を入れ、個性的なフレンチトーストを作り出しているところがあります。
それは「【バーと癒し】東京ステーションホテルが提案する、3つの酒スタイル」でもご紹介した東京ステーションホテルのロビーラウンジです。
ロビーラウンジで期間限定で提供されているSAKURA フレンチトーストは雑誌やウェブでよく取り上げられているので、見たことがある人は多いでしょう。
SAKURA フレンチトーストを提供
広報マネージャー濱純子氏は「SAKURA フレンチトーストは3月1日から4月30日までご提供しており、早速ご好評いただいている。桜風味のシロップを加えたフレンチトーストに、桜風味のエスプーマを添えているので、桜の香りが豊か」と勧めます。
プレゼンテーションに関しては「桜葉を敷いたり、桜の小枝を添えたりしている。東京駅周辺は皇居以外では桜をあまり見られないので、是非SAKURA フレンチトーストを召し上がって桜を感じていただきたい」と紹介し、「通常のフレンチトーストも平行してご用意しているので、お好きな方をご注文いただきたい」と補足します。
フレンチトーストが定番に
これまで、SAKURA フレンチトーストなど期間限定のフレンチトーストはあまり見掛けられませんでした。ここ最近になって見掛けられるようになったのは、どういった背景があるのでしょうか。
濱氏は「フレンチトーストは東京ステーションホテルが再開業した2012年からご提供している。オリジナルのブリオッシュ生地に卵、生クリーム、タヒチ産バニラビーンズを丸1日漬け込んだ、こだわりの一品。味はもちろん、見た目の可愛いらしさや、ブリオッシュ生地を使った珍しさが、特に女性から支持を得ている」と振り返ります。
シーズン毎のフレンチトーストを
続けて「口コミで広がっていったので、知る人ぞ知る人気メニューという感じであった。しかし、今年2015年11月2日に東京ステーションホテルが100周年を迎えるにあたり、人気のあるフレンチトーストをもっと多くのお客さまに楽しんでいただきたいと考え、シーズン毎のフレンチトーストもご提供するようになった」と背景を話します。
確かに、通常のフレンチトーストだけではなく、シーズン毎の限定フレンチトーストも提供すれば、より多くのメディアに取り上げられ、より多くの人にも伝わるでしょう。
シーズン毎のフレンチトーストについては「1月中旬から1月末まではあまおう、3月から4月は桜、その次はマンゴーをテーマとしたフレンチトーストをご用意する予定」と展開を述べます。
ベッジュマン&バートンとのコラボレーション
SAKURA フレンチトーストで他にも注目するべきところはあるのでしょうか。
「フレンチトーストのセットでは、パリの高級老舗紅茶ブランド『ベッジュマン&バートン』とコラボレーションしたオリジナルの紅茶の中から1品を選べる。『タイムレス エレガンス』は緑茶にサクンラボの風味を付けた紅茶なので、SAKURA フレンチトーストとの相性は抜群によい」と紅茶についてもこだわっているとします。
あえてフレンチトーストを
ふと振り返ってみると、東京ステーションホテルの開業とあわせてフレンチトーストが提供された2012年というのはまさにパンケーキが大人気となっている時期でした。
どうしてパンケーキではなく、フレンチトーストを作ろうとしたのでしょうか。
総料理長 石原雅弘氏は「フランスではフレンチトーストはパンペルデュという名前で、3つ星レストランのデザートとしても親しまれている。フランスで本場のパンペルデュを食べた時においしさに感動し、日本でもいつかご提供したいと思っていた」と感慨を込めます。
続けて、「開業前、ラウンジにいらっしゃる女性のお客さまに喜んでいただけるものは何かと思案した。女性は甘いものや新しいものが好きなので、あえて人気のあるパンケーキではなく、人気が出始めたフレンチトーストはどうかと提案した。寛いでいただくためには少し腹持ちする方がよいので、パン生地ではなくブリオッシュ生地を使うようにし、瀧澤一茂シェフパティシエが試行錯誤して完成させた」と振り返ります。
フレンチトーストはガラスの器も印象的ですが、「様々なお客さまに満足いただきたいので、フルーツやコンディメントはフレンチトーストとは別に添えて、お好みでトッピングできるようにした」とセパレートした理由を述べ、「ラウンジという性質上、打ち合わせにも使われるので、なるべくコンパクトになるようにと考えた。そこで、お皿に器を被せるスタイルが思い浮かんだ」と経緯を話します。
日本の象徴である桜
濱氏は「ロビーラウンジの場所はもともとは三等列車の待合室であったが、その後は駅の施設となり、一般のお客さまには開放していなかった」と切り出し、「2012年の東京駅丸ノ内駅舎保存・復原工事で”使い続ける文化財”という方針のもと、ホテルエリアが拡張され、ロビーラウンジが生まれた」と出自について紹介します。
このように東京ステーションホテルは歴史あるホテルですが、「各スタッフがお客さまに自信を持っておもてなしできるようにするため、みんなで意見を出し合って決める文化がある」として、「ロビーラウンジでベッジュマン&バートンとコラボレーションしたフレーバーティーをご提供することになった時にも、スタッフが10種類以上を試飲食して投票し、タイムレス エレガンスとエバーラスティング ストーリーに決まった」と例を挙げます。
人気のフレンチトーストをさらに躍進させるためにシーズン毎のフレンチトーストを新たに提供し、濱氏が「東京ステーションホテルは日本を象徴する東京駅にあるので、同じく日本を象徴する桜をテーマとしたものが選ばれたのは偶然ではないかも知れない」とするタイムレス エレガンスが、3年の時を隔てて当初は予想していなかったSAKURA フレンチトーストと出会う物語は、2014年末に100周年を迎えたばかりの東京駅の物語と同じくらいロマンチックではないでしょうか。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。
参考
スイーツ図鑑にも東京ステーションのホテルのロビーラウンジが詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。