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【大河ドラマ光る君へ】まひろの母・ちやはを惨殺した藤原道兼の「狂気」

濱田浩一郎歴史家・作家

大河ドラマ「光る君へ」第1回「約束の月」が放送されました。第1回目を観た感想としては、久しぶりに「大河らしい大河が帰ってきた」という印象です。俳優陣の落ち着いた演技、浮ついたところのない演出は、今後を期待させるものでした。第1回目では、紫式部(劇中では、まひろ)を演じる吉高由里子さんや、藤原道長を演じる柄本佑さんは登場せず。それぞれ子役たちが演じていましたが、その演技も素晴らしいものでした。

さて、同回では、ラストに衝撃的な出来事が起こります。まひろの母・ちやはが、藤原道兼(藤原兼家の次男。道長の兄)に些細なことにより惨殺されてしまうのです。道兼を演じるのは、玉置玲央さん。若くて血気盛ん、長兄の藤原道隆を重んじる父・兼家への不満、元来の性格の悪さも相俟って、ついに凶行に及んでしまうのでした。玉置さんは、その道兼の「狂気」をよく表現されていたと思います。ちなみに、道兼が紫式部の母を殺したというのは、もちろん、創作です。

しかし、平安時代後期の歴史物語『大鏡』は、道兼を「心持ちに無情な酷いところがあって、人に恐れられた人」と評しています。まひろと交流を深めることになる道長の実兄(道兼)が、まひろの母を殺害したという展開は、今後、大きなしこりとなって残ると思われます。史実においては、道兼は長徳元年(995)に病没しますが、今回のドラマにおいては、復讐を受けて死ぬということもあるかもしれません。今後の展開が楽しみとなる第1回目の放送でした。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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