JR渋谷駅で移設工事 埼京線・湘南新宿ラインが「近くなる」 利便性が大幅向上へ
「埼京線が遠い!」。渋谷駅利用者から多く聞かれる不満のひとつだ。その不満が、6月1日に解消されようとしている。現在よりも北側に、埼京線・湘南新宿ラインのホームが移設されるのだ。
なぜ渋谷駅の埼京線ホームは遠いのか
JR東日本渋谷駅の埼京線ホームは、もともと貨物駅があった場所につくられた。1996年に埼京線の恵比寿駅までの延伸にともない設置され、2001年には「湘南新宿ライン」も使用することになった。過去の貨物駅の土地が、旅客列車のための設備に生まれ変わっていった。
貨物駅の土地を利用して埼京線ホームができたため、現在の位置にホームがあることになったのだ。
そのころは、東急東横線の渋谷駅は地上駅であり、山手線ホームと東急東横線渋谷駅の間には山手貨物線が走るだけのスペースしかなかった。
だが2000年代後半に入ると、渋谷の再開発が進んでいく。
東京メトロ副都心線が開業、のちに東急東横線が地下に移設、副都心線と接続する。そのころから東急とJR東日本、渋谷区による渋谷再開発が行われ始める。
旧東急東横線渋谷駅跡地を利用し、商業施設を建設する一方、JRの渋谷駅も大改造する。その過程で東急百貨店東横店内にある東京メトロ渋谷駅を移設し、東急百貨店東横店を取り壊し新しい建物を建てる。そういう各社一体となった計画のプロセスの中で、埼京線ホームを山手線ホームに並行させることが可能になった。
進む線路切換工事
JR東日本の渋谷駅では、2015年より駅改良の本体工事に着手し、2018年には埼京線上り線路の切換工事を行った。現在、埼京線の上りホームが高くなっているのは、それによる。今度は下り線路の切り換えを行い、ホームを移設する。
その後、現在の埼京線ホームは新南口への連絡通路になる。
今後の予定としては、山手線内回りホームの拡幅と、山手線外回りホームと内回りホームの一体化というのがある。これにともない、山手線の線路も移設する。
最終的な完成は、2027年度を予定している。
当日の運転計画は?
ホーム移設の工事は、5月29日(金)22時ころより、6月1日(月)4時ころまで行われる。5月30日(土)の初電から、5月31日(日)の終電まで、大崎~新宿間で埼京線、湘南新宿ラインは運休する。相鉄線直通列車や横浜方面からの湘南新宿ラインは大崎で折り返し、新木場からのりんかい線乗り入れも行われない。一方、埼玉方面からの列車は新宿で折り返す。成田エクスプレスは東京・品川から新宿方面に乗り入れる列車は運休する。この日、成田空港に向かう人は、リムジンバスを利用したほうがいいだろう。もちろん、成田から帰る人もだ。池袋・新宿発着の「踊り子」「サフィール踊り子」は東京駅発着になる。
一方、山手線は通常運転し、増発して対応する。
何が変わるのか?
では、何が変わるのか。
埼京線・湘南新宿ラインのホームが山手線の位置と並行になることにより、利便性が向上する。たとえば、副都心線や東急東横線、東京メトロ銀座線との乗り換えの際の距離が近くなる。とくに東京メトロ銀座線とは至近距離になる。京王井の頭線からの場合、気の遠くなるような距離を歩く必要がなくなる。
成田エクスプレスの利用者にとってはとくにありがたい。荷物を運ぶ距離も短くなる。
一方、「ホームが遠い」ということで渋谷駅の利用を避け、その他の駅で埼京線・湘南新宿ラインに乗っていた人も、渋谷駅でこれらの路線を利用するようになる。その結果、山手線の混雑も緩和される。山手線では、池袋~新宿~渋谷~恵比寿間の混雑が激しく、主要駅移動を埼京線・湘南新宿ラインに移行することが可能になる。
渋谷駅の埼京線・湘南新宿ラインのホーム移設により、多くの人が感じていた不便さが解消されるようになるのだ。