エウロパの生命探査衛星 NASAが10月10日に打ち上げ予定 厚い氷の下に地球外生命体は存在するか?
2024年10月10日、NASAは木星のガリレオ衛星の一つである「エウロパ」に探査衛星を打ち上げる予定です。エウロパは氷に覆われている天体ですが、その地表下には海が広がっていると考えられており、生命の存在が期待されています。
本記事では、「エウロパ・クリッパー」のミッションをご紹介します。
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■生命の存在が議論されている木星衛星「エウロパ」
ガリレオ衛星の一つである「エウロパ」の表面は氷の地面に覆われていて、線のような地面の割れ目が見えます。木星からの潮汐力からの影響で、内部は暖かいと考えられています。2013年にハッブル宇宙望遠鏡の観測により、エウロパ表面から水蒸気と思われる物質が噴き出していることを確認したことにより、エウロパの内部に海が広がっていることがほぼ決定的となりました。
太陽の届かない地球の海底のような環境でも、熱水噴出孔には地熱エネルギーがあふれていて、それを食料とするエビやカニ、チューブワームなどの生物が確認されています。更にエウロパでは、生命にとって不可欠な炭素や塩も見つかっています。これらの傾向から、エウロパの海底にも様々な生き物が生息している可能性は十分にあり得るのです。
■エウロパの海を観測する壮大なプロジェクトが始動
NASAではエウロパの内部を探査するミッションが計画されています。その探査機の名前は「エウロパ・クリッパー」、2024年10月10日にエウロパに向けて打ち上げ予定です。ちなみに、この計画では直接エウロパに着陸する訳ではなく、木星を回りながらエウロパの近くを50回以上通り過ぎることで観測をします。エウロパ・クリッパーが木星に到着するのは2030年を予定しているとのことです。
ちなみに、クリッパーとは、19世紀の海を高速で渡る大型帆船が由来になっています。エウロパ・クリッパーはレーダーで氷の厚さを測定し、エウロパの地表から25km程度まで接近し地表下の水を分析器でスキャンします。このスキャン中に魚が跳ねてたら一体どんなことが起こるか楽しみですね!その他にも、エウロパ・クリッパーは衛星表面の高解析画像を撮影し、地底の海の存在や深さ、塩分濃度に関するデータを収集します。「生命にとって適切な環境かどうかの調査」が最大のミッションです。
■SLSロケットの開発遅れから、ファルコンヘビーに変更
ちなみにこのエウロパ・クリッパー、元々はNASAのSLSロケットが使用されるはずでした。しかし、SLSロケットの開発が当初の計画よりも遅れていることから、2021年7月、スペースXのロケット「ファルコンヘビー」を採用すると発表がありました。ファルコンヘビーは、18年に初の打ち上げ実験に成功しており、現在使われているロケットでは最大級の積載能力を持つとされています。イーロン・マスク氏によると「冥王星やその先にも行ける」とのことです、頼もしいですね。
そして、エウロパ・クリッパーのミッションの次には、遂にエウロパに着陸して探査を行う「エウロパ・ランダー」という着陸ミッションが計画されています。この詳細は次回の記事でご説明します、お楽しみに!
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