世界初!宇宙ゴミとなったH2Aロケットを近距離で撮影、アストロスケール社の衛星「ADRAS-J」
アストロスケール社は26日、世界で初めて宇宙を漂うスペースデブリの近距離撮影に成功したことを発表しました。
本記事では、撮影したデブリの詳細や、同社のデブリ除去事業について解説していきます。
増え続ける宇宙ゴミ、人類が宇宙へ出られなくなる「ケスラー・シンドローム」とは?
■世界で初めて接近撮影したスペースデブリを公開
デブリとは、軌道上での人工衛星やロケットの使用後、または故障して不要になった宇宙ゴミのことです。2019年までに、1mm以上のデブリがなんと1億個以上も存在すると推定されています。
アストロスケール社は2024年2月18日、既存大型デブリの監視を目的として「ADRAS-J」を打ち上げました。ターゲットとするのは、2009年に打ち上げられたH-IIAロケット15号機の第二段部分です。大きさは約11メートルで、地上約600kmの軌道を周回しています。
ADRAS-Jは今回、数百メートルの距離まで接近し、デブリの撮影に成功しました。今後も更に数メートルまで接近して撮影を行うことが計画されています。今回のような非協力ターゲットへの接近技術は、今後にデブリ除去事業の展開を計画しているアストロスケール社にとって必須の技術となるとのことです。
■増え続ける宇宙ゴミ「スペースデブリ」の除去企業
「アストロスケール」は、宇宙ごみであるデブリの除去・軌道上サービスに取り組む初の民間企業で、2013年に設立されました。「アストロ」とは、ギリシア語語源で「宇宙」。「スケール」は天秤であり、「正義の象徴」を表しています。「宇宙規模で正義と秩序を背負っている社会」として、宇宙開発に持続的に取り組める社会を実現したい、というメッセージが込められているのです。
アストロスケール社は将来的にデブリ除去以外にも、高コストの静止軌道衛星などを対象とした、整備、修理、またはアップグレードなどにも参画するようです。まさに漫画のプラネテスの世界が現実になりそうです。今後の活躍に期待が膨らみますね。
【関連記事】