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SLIM通信再開できず、太陽フレアの影響可否は不明 来月に再チャレンジへ、4度目の越夜に成功なるか

SLIM月着陸時の撮影画像©JAXA/タカラトミー/ソニーグループ/同志社大学

JAXAは5月24日~27日にかけて月面に着陸したSLIMとの通信を試みましたが、応答がなかったことを発表しました。一方で、元々越夜に対応していない設計であるSLIMが、4月までに3回の越夜に成功したことは驚異的な成果と言えます。

本記事ではSLIMの現在の状況、そして太陽フレアについても解説していきます。

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■SLIM通信再開できず 来月に再チャレンジへ

JAXAはSLIMの電力が回復していると想定される5月24日~27日にかけて、月面への通信を試みましたが、SLIMからの応答はなかったとのことです。27日以降は太陽電池による発電が難しくなるため、次回の通信の試みは6月になるとのことです。

SLIMからの通信が再開できない理由は明確にはなっておりません。5月中旬には大規模な太陽フレアが発生していたこともあり、その影響との関係も不明とのことです。

一方で、SLIMは搭載質量やサイズ、消費電力の観点などから、月面での越夜に対応できる設計にはなっていません。また、月面での越夜は技術的に難しいことで知られており、月面の温度差は非常に激しく、日照は約110度、日陰はマイナス170度と、なんと300度近い温度差があるのです。それにも関わらず、SLIMが4月までに3度の越夜に成功できたことは歴史的な快挙なのです。

1月20日の月着陸以降、大半の機器が想定以上の過酷な状況で使用されているため、遂に危機に不具合が出始めてきたことが予想されています。来月には再度太陽電池による発電ができるタイミングが来るため、その際に改めて運用にチャレンジするとのことです。

皆さんでSLIMの復活を祈りましょう。

■過去に太陽フレアが引き起こした大事件

太陽表面で発生したプロミネンス©Wikipedia
太陽表面で発生したプロミネンス©Wikipedia

2001年に発生した太陽フレアでは、飛行中の航空機との通信が途絶えるという事件が発生しています。航空機は自分が今どの位置を飛んでいるかを把握できない状況となり、墜落の危険性があった出来事でした。

1989年の太陽フレアでは、アメリカの変電所が故障したことや、9時間にわたり停電が続き600万人に影響を与える事態となりました。

そして、太陽フレアは地上だけではなく人工衛星にも影響を及ぼします。2022年にはスペースXが大量に打ち上げているスターリンク衛星のうち、約40基が制御不能となり、大気圏に落下しています。

今回の太陽フレアがSLIMに悪影響を及ぼしていなければ良いのですが、、。

■1月20日の月面着陸からSLIMの状況をおさらい

SLIMが撮影した月面の風景©JAXA
SLIMが撮影した月面の風景©JAXA

SLIMは1月20日に月面のSHIOLIクレーターへの着陸に挑戦し、見事成功しました。月への着陸したのは日本として初めてであり、世界ではアメリカ、ソ連、中国、インドに続き、5か国目に月着陸を成功させた国となりました。

SLIMは、月面への降下中に二つのメインエンジンの内一つが脱落し、推進力が失われてしまったため、月面着陸後は正常通り太陽電池による発電ができない状況でした。バッテリーを駆動することで地球との通信を行っていましたが、枯渇する前に電源をオフにし探査機を温存することを選択。

その後、月の自転運動により太陽電池へ太陽光が徐々に照射され始め、1月28日に発電が再開されたことが確認されました。更に、搭載していたマルチバンド分光カメラにより、月面岩石の撮影も十分に行うことができました。その後、SLIMは4月までに月面での越夜に合計3回成功しています。

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