東海道新幹線、「駅弁・アイス・コーヒー」が順々に楽しめない 車内販売がなくなって失われたもの
東海道新幹線の車内販売は、昨年10月31日に終了した。グリーン車には、パーサーによるモバイルオーダーサービスが導入され、車内販売時代の商品よりも少ない商品ではあるが、車内サービスが維持された。
普通車では、車内サービスはなくなった。その代わり、コーヒーやアイスクリームは、主要駅の自動販売機で購入できるようになった。
しかし実際に利用してみると、いろいろと不便なこともあるとわかった。
「駅弁のあとにアイスとコーヒー」が不可能に
先日、用事があって東京駅から東海道新幹線に乗車した。自動販売機でしか買えなくなったけど、「シンカンセンスゴイカタイアイス」を久しぶりに食べよう、と考えた。
昼どきなので、まずは駅弁を購入。大きなスーツケースを持っていたので、手はふさがっていた。
発車時間が近づいたところで、アイスクリームを自動販売機で購入する。もう荷物などでいっぱい、コーヒーは買えなかった。
「のぞみ」が東京駅を出たところで、駅弁を食べる。食べ終わったところで、アイスクリームに手をつける。
曲がりなりにも、車内販売のころは「シンカンセンスゴイカタイアイス」だったのだから、そんなには柔らかくなっていないだろう、とスプーンを通した。すると、なんの抵抗もなかった。
ある程度柔らかくなっていたのだ。食べごろ、という時間もすぎていた。かつては、ドライアイスでカチカチに固まっていたアイスクリームが、ちょっとやそっとの時間で簡単に食べられるようになっていた。
もちろん、どんどん食べた。食べ終わったところで、カップに入ったコーヒーがほしいと思っても、買えなかったのでない。缶ボトルのカフェラテを飲んだ。
なぜ「駅弁・アイス・コーヒー」が無理になってしまったのか?
新幹線でのひとときをすごすのに、「駅弁・アイス・コーヒー」は欠かせないものだった。ようやく、これらを楽しめるだけの収入ができるようになって、しかも新幹線にときどきは乗るようになって、という状況に筆者もなんとかなった。
ところが、東海道新幹線の車内販売はなくなってしまった。
駅弁は乗車前に買うからいいものの、アイスクリームは時間が経つととけてしまうものであり、コーヒーは冷めてしまうものである。自動販売機で扱うには向いていないのではないか、ということも考えられる。
で、これらを3つ同時に手にすることは、大きなスーツケースなどを持っていると難しい。
ビジネスリュックなどを背負っていても、アイスクリームとコーヒーで手がいっぱいになるのではないだろうか。
しかもいまどき、駅弁のビニール袋も有料だ。その有料のビニール袋を利用してなんとか工夫してアイスを持つなどして、ようやく「駅弁・アイス・コーヒー」のセットが楽しめるかどうか、といった状況だ。
要は、アイスとコーヒーを一緒に持つための方法がないために「駅弁・アイス・コーヒー」が楽しめない、という状況にある。
しかも、アイスの自動販売機は、車内販売の際にドライアイスで冷やしていたときほどの温度で冷やせないという問題もある。冷凍食品などを扱うための専用の自動販売機を使用しているものの、それでもドライアイスには勝てない。
新幹線で味わえるちょっとしたぜいたくは、車内販売がなくなったことで失われた。
アイスとコーヒーだけなら、まだなんとかなるかもしれない。ただ、これだけを楽しむのは、食事時を外した時間帯に新幹線に乗る、というタイミングでないと難しい。
「駅弁・アイス・コーヒー」をよい状態で楽しむには、グリーン車に乗るしかなくなってしまった。もちろん、グリーン車は高い。筆者ごときが乗っていいものか、という思いもある。
車内販売の廃止で、ちょっとした楽しみがなくなってしまったのは、仕方ないけれど残念である。なんとか、「駅弁・アイス・コーヒー」をよい状態で普通車でも楽しめるようにしてほしい。