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木村拓哉主演『レジェンド&バタフライ』入門 明智光秀が主君・織田信長に謀反した真の原因は何か?

濱田浩一郎歴史家・作家

木村拓哉さん主演の映画『レジェンド&バタフライ』が公開されています。木村さんが演じるのは、著名な戦国武将・織田信長。信長は京都・本能寺において、家臣の明智光秀により、討たれてしまいます(1582年)。

光秀が信長を討った理由についてはこれまで様々語られてきましたが、では『信長公記』(信長の家臣・太田牛一が記した信長の伝記)には、何と記されているのでしょうか?

同書には次のようにあります。「光秀、逆心を企て(中略)信長を討果し、天下の主となるべき調儀を究め」と。

つまり、光秀は、天下人になるため、信長を討ち取ったと記されているのです。これはいわゆる「野望説」というものでしょう。

ちなみに、信長と対面したこともある宣教師ルイス・フロイスの著作『日本史』には「彼(信長)の好みに合わぬ要件で、明智が言葉を返すと、信長は立ち上がり、怒りをこめ、一度か二度、明智を足蹴にした」との人々の噂を記した箇所がありますが、同時にこうも記しています。

「過度の利欲と野心が募りに募り、ついにはそれが天下の主になることを彼(明智光秀)に望ませるまでになったのかもしれない」と。

『日本史』も「野望説」を採っていると言えるでしょう。

信長と同じ時代を生きた人々は、光秀の天下への野心が、信長を殺したと認識していたのです。私も「怨恨説」よりも「野望説」の方に説得力を感じています。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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