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0勝11敗だった投手がシーズン初勝利を挙げる。相手は両リーグ最高勝率のチーム

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーダン・ライルズ(カンザスシティ・ロイヤルズ)Jun 24, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月24日、ジョーダン・ライルズ(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、1回裏と2回裏に2点ずつを取られた。けれども、その後の4イニングは得点を許さず、降板した時点で、ロイヤルズは8対4とリードしていた。7回裏以降は、リリーバーのカルロス・ヘルナンデスニック・ウィットグレンが、タンパベイ・レイズを完璧に封じ、ライルズは白星を手にした。

 ライルズは、開幕からローテーションの一角を担っている。ただ、それまでの15登板は、0勝11敗だった。ライルズが登板した試合で、ロイヤルズが勝ったこともなかった。

 前日の時点で、ライルズの防御率6.72は、規定投球回以上の両リーグ・ワースト。16登板目の6月24日を含めた防御率6.68も、ワーストのままだ。

 6月24日を終え、ロイヤルズは、22勝55敗。ロイヤルズの勝率.286を下回るのは、勝率.253のオークランド・アスレティックスしかない。あとの28チームは、勝率.380を超えている。

 15登板目の6月19日は、7回裏、無死二、三塁の場面でライルズが降板した時、ロイヤルズは4対1とリードしていた。このイニングが終わる前に、ロイヤルズは4対6と逆転され、そのまま敗れた。

 オプタ・スタッツは、1900年あるいは1901年以降の「モダン・エラ」において、シーズン0勝&10敗以上の投手がアウェーで1位のチームを相手に勝利は初、と謳っている。この日の黒星を含めても、レイズの勝率.663は、両リーグで最も高い。

 なお、投手が記録した開幕からの連敗は、見落としがなければ、14が最長だ。1906年のジョー・ハリスは、18登板(先発15登板と救援3登板)で0勝14敗。1979年のマット・キーオ――1987~90年に阪神タイガースで投げた――も、25登板(先発23登板と救援2登板)で0勝14敗だった。

 それぞれ、シーズン全体では、2勝21敗(防御率3.52)と2勝17敗(防御率5.04)。彼らがいたチーム、ボストン・アメリカンズとアスレティックスは、どちらも100敗以上を喫し、勝率は.335に届かなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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