【速報】税制改正大綱明らかに シン・NISA、シン・iDeCoはどう変わるのか FPはこう読む
資産所得倍増プランでiDeCoとNISA改革が議論に 本日公表の税制改正大綱で方向性が示される
岸田内閣の取り組みとして期待される成果のひとつは資産所得倍増プランの実行でした。各所で取り組みを訴えたわけですし、他政策ではポイントを稼げずに苦労している中、ここでしっかり実現力を示したいところです。
資産所得倍増プランの議論を踏まえた、各省庁の税制改正要望が連携しながら出した要望をざっと読むところ
・iDeCo
70歳までの加入(拠出)を可能とする
特別法人税(資産に一定率の課税)は凍結延長
・NISA
2024年実施予定の新NISAをいったん撤回
一般NISAとつみたてNISAの一元化
NISA拠出枠の拡充
NISA制度の恒久実施の明言
などが上がっており、特にNISAについては抜本的改革となるところから、その動向が注目されているところでした。
先行した報道でも、NISAについては内容が二転三転しており、税制改正の議論が紛糾している様子がうかがえました。
12月16日、自民党としての税制改正大綱が自民党ホームページに掲載されました。早速内容をチェックしてみたところ、報道が今週に入ってから紹介していた内容を、おおむね網羅していることが確認できました。
今回明らかになった情報を元に「iDeCoとNISAはどうなるか」を解説してみたいと思います。
自民党 NISA拡充・恒久化、スタートアップ支援を強力に推進 与党税制改正大綱が決定
まずiDeCoはどうなるか
最初にチェックしてみるのはiDeCoです。iDeCoについては大方の予想どおり、70歳まで加入し拠出を継続させられるよう、制度改正を認める旨が盛り込まれています。
本文としては「iDeCoの加入可能年齢の70歳への引き上げや拠出限度額の引き上げについて、令和6年の公的年金の財政検証にあわせて、所用の法制上の措置を講じることや結論を得るとされていることを踏まえつつ……」という表現です。
これについては厚生労働省の社会保障審議会、企業年金個人年金部会でも了承済みであることを受けており、ほとんど違和感がありません。
それでも、前回の法律改正でようやく65歳まで拠出が可能になった項目が今年の春にようやく施行されたばかりで、すぐに5年延長が決まった方向感は吉報といえます(この春は企業型の確定拠出年金のほうは70歳まで加入可能としているので、これに追いつくともいえますが)。
ただし、iDeCoへの拠出条件として公的年金の被保険者(年金保険料を納めているかどうか)がカギとなるかどうかは大綱だけでは不明確で、改正法案を待ちたいところです。ただし、法案は数年先のこととなるでしょう。
もうひとつ、iDeCo単体のものではありませんが、この20年にわたって一度も課税されていない「特別法人税」については2023年3月末に期限を迎える仕組みでしたが、再延長(3年)されることになりました。
これは企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、iDeCoなど幅広く影響する問題でしたので、ちょっとホッとしたところです。資産残高の1.173%を徴収するようなことがあっては、企業年金やiDeCoのほとんどは「実質マイナス」となってしまいます。
資産残高への課税をする根拠は高金利であることなので、現在課税再開する状況にないことは明らかですが、3年後は凍結延長ではなく廃止を目指していただきたいところです。
次に、シンNISAはどうなる
NISAのほうはちょっとややこしいことになっています。NISAは、2024年1月から改正を実施することが決まっていたのですが(新NISAと呼ばれたりしていた)、あえてこれをリセットし、いわば「シン・NISA」として大改革を行うことになりました(あえてこの呼び方を推したい)。
このシン・NISA、年拠出額の引き上げ、生涯拠出額の管理制度の導入、2制度同時利用可能とするなど、大幅な見直しを掲げています。
・制度の恒久化
現状は数年ごとに延長措置 →恒久化を明言
・年間拠出額
一般NISA(現状年120万円)→年240万円
つみたてNISA(現状年40万円)→年120万円
・制度の併用(統合)
現状は択一して利用する →同時活用可に(つみたてNISAがベースの「つみたて投資枠」と呼び、一般NISAを「成長投資枠」と呼び一体的に考える)
・生涯拠出額
一般NISA(現状は600万円)、つみたてNISA(現状800万円) →合計1800万円(購入時点の価格で管理し値上がり分は数えない。うち成長投資枠は1200万円まで。売却などを行えばまた拠出が可能になる)
大幅な改革を含んでいる内容のところ、今先ほどざっと大綱を読み込んだところなので、ミスリードがあったらすみませんが、ポイントはこんな感じだと思います(間違いがあれば適宜訂正するようにします)。
実施は元の新NISA実施予定だった2024年から、と読めます。ただし、システム改修も多くなるため、シンNISAを金融機関各社が2024年1月から本当に実施できるかはちょっと心配です。
【解説】FPはこう読む 基本的にはいい方向での改正に 早期法案成立に期待
今回の改正は、特にNISAの基本的枠組みをゼロベースで大きく見直すことになりました。今までの制度を理解していた人もゼロから一度チェックしておいたほうがいいでしょう。
FP目線で考えてみると、それぞれの改正内容のアプローチはいいと思います。
まずiDeCoについては、誰でも70歳まで積立できるというアプローチが実現する方向になりました。さらに二の矢として「拠出限度額の引き上げ」も来年以降は勝ち取って欲しいところです。物価上昇が続くということは将来の積立目標も上方修正なので、積立枠の増額が欠かせないからです。
シン・NISAについては、枠の増額だけではなく、「2制度の併用可能(一体化)」「投資額の上限管理(1800万円)」という新しい仕組みをどう利用していくかがカギとなりそうです。
中長期的に資産形成を行う個人にとっては歓迎される見直しです。元本が1800万円まで投資できるということは運用収益を加えて2000万円を超える資産形成が可能になり、老後の不安解消に大いに役立つ規模です。シン・つみたて枠の上限でも15年分ですから、十分な枠でしょう。
短期的に売買をしたがる(数年程度も含む)人にとっても、一般NISAの枠が2倍になると思えば悪い話ではありません。ただし投資金額が大きくなるほど、NISAは損益通算の対象とならないこと(従前の原則が維持されるとすれば)に注意が必要となります。短期的に損切りしてエントリーし直すような投資スタイルは、今まで通りNISA外でやったほうがいいかもしれません。
制度がずっと続くことが確約されることもうれしい話です。これによりNISAをプッシュする金融機関も、利用する個人も安心して制度を活用することができるでしょう。
――さて、自民党の税制改正大綱が定まり、来年早々に関連法案が提出されることになります。そして、春の通常国会で成立を目指すことになります。
法案では、それぞれの項目が施行時期を示されますが、しばらくは業界関係者にとっては忙しい日々となりそうです。
私たちは2023年を「学びの年」として、シン・NISAに備えていきたいところです。
(なお、現状のNISAはシン・NISAとは別枠で2023年に利用できるので使ったほうがいいでしょう)