パンケーキにトリュフとフォアグラは必要なのか?
パンケーキの人気
パンケーキはスイーツの中でも注目度が高く、語られるべき歴史があったり、趣向を凝らした新しいものが現れたりしているので、よくご紹介しています。
「【パンケーキの日】パンケーキは日本の国民食となれるのか?」で日本には馴染みの薄いパンケーキの日についてご紹介し、「パンケーキはどこまで進化していくのか?」でグランド ハイアット 東京「フィオレンティーナ」の窯で焼くパンケーキを取り上げ、「【秋スイーツ】夏が終わり、かき氷でブームを起こしたマンゴーチャチャは何を想う?」で新しくパンケーキを販売するに至った理由をご説明しました。
秋の味覚を用いたパンケーキ
秋の味覚といえばイモ、クリ、カボチャがよく挙げられ、そのどれもが甘いスイーツ系のパンケーキとして使われます。日本では、パンケーキはスイーツとして注目されることがほとんどで、食事として注目されることは多くありません。しかし、秋の味覚を用いて注目されている食事系パンケーキがあります。
それは、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「ニューヨーク ラウンジ」で10月1日から提供されている「大人のトリュフ&フォアグラパンケーキ with エッグベネディクト」です。
トリュフは、「【ミシュラン/最高級食材】食べる芸術、キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロが魅せる白トリュフ」でもご紹介したように、世界3大珍味のうちの1つであるキノコの王様です。このキノコの王様がパンケーキに使われているというのです。
トリュフパンケーキとは一体どういうものでしょうか。
トリュフフェア
取締役 営業本部長 前原孝行氏は「全館を挙げて『秋の味覚とトリュフの香り』フェアを行っている。行うのであれば徹底的に行いたいので、レストランもラウンジも区別なくトリュフを使ったメニューを新しく開発した」と話します。「お客さまに楽しんでいただけるように、どのメニューも工夫を凝らしている」と結びます。
営業本部 営業企画・個人営業部 担当部長 奥園恵美子氏は「5つのレストランでトリュフを使ったメニューをご提供しており、どれもトリュフを満喫できる。例えば、鉄板焼 匠ではこのフェア期間にだけ、特製トリュフ炒めご飯をご提供している」と自信を持ちます。
具体的には以下のように、どのレストランもトリュフ尽くしです。
他では食べられないトリュフパンケーキ
奥園氏に、特にお勧めはどれかと訊くと「どれもご好評いただているが、その中でも特にニューヨークラウンジでご提供しているパンケーキは、他にはないのでお勧め」と答え、他にはない特徴として「オータムトリュフはスライスしてふんだんに散りばめているだけではなく、ペリグーソースにも使われている」と説明します。スライスしたトリュフやペリグーソースを使うとは、まるで本格的なフランス料理のようです。
続けて「フォアグラもたっぷりと添えている。ポーチドエッグを載せて、エッグベネディクト風に仕上げてもいる」と類を見ないほどに贅沢なパンケーキであるとします。
シャンパーニュにも合うパンケーキ
これを受けて、マネージャーの石川陽一氏は「10月1日からご提供を始めてまだ3週間しか経っていないが、手頃とは言えないお値段で50食以上も販売されている。当ホテルのハウスシャンパーニュであるドラピエともよく合い、一緒にご注文されることが多い」と定番メニューになりそうなくらい勢いがあるとします。
トリュフパンケーキはただ贅沢な食材を詰め込んだように思いますが、そうではありません。
豆腐とおからを加えて
ラ・プロヴァンス料理長今関一久氏は「他にはない食事系のパンケーキを作ろうと思ってアイデアを絞った。トリュフ、フォアグラ、ポーチドエッグばかりが注目されるが、本当はそこに注目してもらいたくない」と落ち着いた声で話します。理由を問うと「食べていただければ分かるが、生地にとても弾力があり、しっとりしている。豆腐とおからを入れて、保水力を高めているので、これだけのふっくら感が得られる。もちろん栄養があってヘルシー」と明かします。
おからと豆腐を入れた理由は何かというと「家で子供にパンケーキを作る時に豆腐とおからを入れている。いつか使えると思っていた」と以前からあたためていたアイデアであったとします。
全員が4番バッターではいけない
苦労がなかったかというと、そうではありません。
前原氏は「実はパンケーキということで、最初はペストリーにリクエストしたが、トリュフは扱い慣れていない食材なので難航した。そこで普段からトリュフを扱い慣れているフランス料理の今関料理長に相談したところ、引き受けてくれた」と順を追って説明しますが、「最初の試作品を食べた時には、これではいけないと思った。それぞれの要素がおいし過ぎて全員が4番バッターになっている。バランスがとれたパンケーキにしなければならなかった」と振り返ります。
今関氏は「パンケーキの生地はトリュフを引き立てるように控えめの味にした。何度も微調整していくことによって、次第にバランスがとれ、結果的に全体の食味を高められた」と試作の連続であったとします。
ここにしかない新たな価値
そもそも、トリュフフェアを行う上でどうしてパンケーキが思い浮かんだのでしょうか。前原氏に問うと「甘いスイーツ系のパンケーキはほぼ出尽くして飽和している。しかし、甘くない食事系のパンケーキはまだ少なく、アイデアを絞れば面白い商品を開発できると考え、今回のトリュフフェアに合わせた」とマーケティングからの着眼であったと答えます。
欧米では古くから、トリュフは季節の貴重な食材として、パンケーキは宗教で用いる重要な食事として存在しました。日本では、トリュフは近年になって注目されているフランス料理やイタリア料理の食材として、パンケーキは昔から甘いスイーツのホットケーキとして親しまれています。
一見すると相容れないようなトリュフとパンケーキが結びきました。しかしこれこそが、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイを運営するホスピタリティ・ネットワーク社長 塚田正由記氏が述べているように、「ここにしかない新たな価値をお客さまに提供すれば、お客さまは必ずホテルにいらっしゃる」という価値ではないでしょうか。
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイでしか食べられない価値を、これからも楽しみにしています。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。
参考
ニューヨークラウンジについてはレストラン図鑑でも詳しくご紹介していますので、ご参考にどうぞ。