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Twitter大量解雇 広告主やユーザーの離脱は始まるか

山口健太ITジャーナリスト
TwitterのWebサイト(筆者撮影)

11月4日、イーロン・マスク氏による買収完了で揺れるTwitterが従業員の約半数を解雇したと報じられ、話題になっています。さまざまな混乱が生じている中で、広告主やユーザーの動向が注目されています。

日本法人にも大きな影響か

Twitterの社員の中には、自分のTwitterアカウントのプロフィール欄でTwitterに所属していることを公表している人が多数存在しています。

こうしたアカウントの多くが、11月4日に会社や同僚に別れを告げるメッセージを投稿。これらのツイートには #LoveWhereYouWorked#OneTeam といったハッシュタグが付けられ、青いハートの絵文字が添えられています。

この文脈における青いハートは、Twitterのブランドカラーである「青」への愛情を示しつつも、「いいね」を意味する赤いハートではないことから、別れや悲しみの印象を受けます。

9年ほど前になりますが、筆者もサンフランシスコのオフィスを訪問し、ランチを食べながら社員の方の話をうかがった記憶があるだけに、あの活気あふれる雰囲気がどうなってしまうのか心配しています。

日本法人においても複数の社員が同様のメッセージを投稿しており、日本経済新聞は関係者の話として、広報部門の全員を含む幅広い部署で人員削減があったことを報じています。

ある社員は、会社から支給されていたPCが金曜日に使えなくなり、社外とのやりとりに使っていたメールアドレスや、社内連絡に使っていたSlackにログインできなくなったことを明かしています。

こうした人員削減に踏み切った理由について、現在のTwitterは1日に400万ドル(約6億円)の赤字を出しており、ほかに選択肢はなかったとイーロン・マスク氏はツイートしています。

マスク氏は割増の退職金を支払ったとも語っていますが、事前の通知を巡って米国ではすでに訴訟が起きています。日本においても、こうした解雇が違法ではないかとの指摘が話題になっています。

また、残された社員も、いつ解雇されるか分からない状況の中で、サービスの運営や新機能の開発に取り組むモチベーションを維持できるのか疑問の声が上がっています。

一方、厳しい状況にあるのはTwitterだけではありません。オンライン広告市場の成長鈍化や、今後の景気後退に備え、テック企業各社がレイオフや採用停止を予定していると報じられています。

もしTwitterの改革が成功すれば、他のテック企業に対してもコスト削減に向けた大きな圧力がかかる可能性があります。

広告主やユーザーの動向は?

Twitterはたしかにマスク氏個人が所有する会社になりましたが、売上の9割は広告に依存しており、広告主を巻き込めばマスク氏に「対抗」できるという考え方があります。

マスク氏はコンテンツの削除などの方針はまだ変えていないと強調しています。こうした作業を担当する部署の人員削減は15%で、会社全体での50%よりも大幅に少ないとしています。

これに対して、大手の広告主の間で広告出稿を控える動きがあると報じられており、マスク氏は売上が大幅に下がっているとツイートしています。

そこでマスク氏は、人員やインフラコストの削減、月額8ドルとされる有料サブスクの強化などで、広告収入の減少をカバーしていくことになります。

マスク氏に反発するユーザーはどう動くのでしょうか。分散型SNSの「マストドン」は、過去最高のアクティブユーザー数を記録。Z世代に人気の「BeReal」も注目されていますが、実際に移行するユーザーはまだそれほど多いわけではないようです。

ただ、これから著名人やブランドによるTwitterからの離脱が相次ぐようになれば、フォロワーを引き連れてほかのSNSに移行していく可能性があります。

日本では政府や企業がTwitterを広報に利用しており、Webサイトよりも効率的な情報伝達手段となっているケースもあることから、大きな影響がありそうです。

一方で、こうした混乱が大きくなればなるほど、新たなSNSの立ち上げを狙っている企業にとっては千載一遇のチャンスになるかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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