NISA乗り換え「オンライン化」で便利になる? 楽天は10月から対応
楽天証券が、10月1日からNISA口座の変更手続きをオンライン化することを発表しました。
これまで紙ベースだった手続きがオンライン化することで、NISA口座の乗り換えがこれまで以上に簡単になりそうです。
NISA口座の金融機関変更がオンラインで可能に
NISA口座は1人につき1つしか持つことができませんが、金融機関を変更する仕組みは用意されています。
ただその手続きは面倒で、変更元の金融機関から書類(勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書)を取り寄せ、その書類を変更先の金融機関に送付する手続きが必要でした。
今回、楽天証券が発表したのはこの手続きをオンライン化するというものです。書類を扱う手間が減り、NISA口座の変更が簡単になります。
これはNISAについて定めた租税特別措置法の改正により、乗り換えに必要な書類を「電磁的方法」で取り扱えるようになったことで実現したようです。
ただ、ここで注意したいのは、NISAの口座変更には「変更元」と「変更先」の2つの金融機関で手続きが必要になる点です。
現時点でオンライン化を発表したのは、筆者が確認した限りでは楽天証券のみとなっており、多くの金融機関が紙の書類を必要としています。
そのため、他の金融機関から楽天証券にNISA口座を移す場合は、変更元の金融機関から紙の書類を受け取り、その内容を楽天証券にオンラインで入力することになります。
また、楽天証券は積極的にアピールしていないものの、楽天証券から他の金融機関にNISA口座を変更する場合の必要書類が、10月1日からはPDFで発行されるようになります。
NISA口座の変更先の金融機関が紙の書類を求めている場合は、このPDFファイルを自分で印刷して送付する形になるようです。
業界内ではこの手続きのオンライン化に対応する動きがあるようなので、楽天証券以外にもオンライン化を表明する金融機関が増えることを期待したいところです。
乗り換えやすくなることの影響は?
すでにNISAを始めている人で、金融機関のサービス内容やポイント還元などに不満がある場合、2025年から変更するのも1つの手です。
ただ、他の金融機関に乗り換えてもこれまでの資産は変更元の口座に残り、変更先とあわせて2つの口座を管理していくことになります。このあたりはメリットとデメリットをよく検討することをおすすめします。
業界に与える影響も気になるところです。携帯電話のようにNISA口座の乗り換えを促すキャンペーンが出てくれば、消費者にとって悩ましい事態になりそうです。
乗り換えやすくなることは、楽天証券のようにNISA口座数を順調に伸ばしているところには有利に働く一方で、顧客の流出に悩んでいる金融機関には不利に働く可能性があります。
経済圏争いを背景にしたNISA口座の獲得競争において、これまで以上に勝ち組と負け組の差が開く結果になるかもしれません。