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もう「圧縮プラン」とは呼ばせない 23区に増える60平米3LDK、伊藤忠都市開発の新たな挑戦

櫻井幸雄住宅評論家
狭苦しい印象がある60平米台前半の3LDK。そのイメージを変える工夫が生まれた。(写真:アフロ)

 便利な都心部で、60平米台の3LDKが増えている。最初は60平米台後半、それが60平米台中盤になり、今は60平米台前半のものが増加中だ。20世紀まで、3LDKの広さは75平米程度が基準になっていたことと比べると、約2割減の広さである。

 20世紀にそのような広さの3LDKをつくれば、「圧縮プラン」と呼ばれた。面積をぎゅっと縮めた狭苦しい住居という意味だ。それに対し、今は「コンパクト3LDK」という呼び名が生まれ、それもわるくないとみなされている。

 コンパクト3LDKが容認されるのは、2つの理由がある。

 まず、便利な場所のマンションであれば、狭くてもよい、という発想が日本だけでなく、欧米でも広まっていること。大都市中心部の地価上昇は日本に限った話ではなく、ニューヨークでもロンドンでも顕著。そんな大都市中心部だったら、コンパクトな住居でシンプルに暮らすスタイルが支持されているわけだ。

 二つ目の理由は、家族構成の変化だ。

 20世紀まで、分譲マンションを買うのは、子ども2人の4人家族が主流だった。だから、70平米台の3LDKがふさわしかった。それに対し、今、分譲マンションを買う世帯は「4人家族」ばかりではなく、1人暮らしもいるし、DINKSもいる、シニアの2人暮らし、そして子どもひとりの3人家族も増加。4人未満の暮らしが増えた。特に、便利な都心部では1〜3人家族が増えたので、面積を絞った3LDKで十分という認識が広まったわけだ。

 といっても、ただ面積を小さくするだけでは不十分。狭くしたことを補う工夫が求められる。その好例を紹介したい。

60平米台でも、気持ちは“圧縮”しない

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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