「室蘭行」高速バス、混雑でついに積み残し発生! 特急列車指定席化と窓口での割引切符廃止の影響か?
JR北海道はこの3月のダイヤ改正で特急列車の指定席を拡大し、窓口での往復割引切符の販売を廃止した。その結果、特に札幌から室蘭や旭川を結ぶ特急列車の客離れを招き、空席が目立つの特急列車の様子を伝える投稿がSNS上に寄せられている。
JR北海道としては、特急列車の全席指定席化と割引切符の販売をえきねっとへの誘導を図ることで、増収とコスト削減の双方を達成しようとした狙いがあったのかもしれないが、その目論見は見事にはずれ、乗客の多くは高速バスに流れている。
特に、札幌―室蘭間を結ぶ特急すずらん号での空席が目立っており、2024年4月26日付記事(JR北、特急割引切符廃止と指定席化で深刻な客離れ えきねっとへの誘導、試みるも顧客ニーズの本質掴めず)でも詳しく触れている。
そして、ついにゴールデンウィーク前半の3連休最終日となる4月29日夕方、札幌―室蘭間を結ぶ高速むろらん号で、乗客が乗り切れなくなる積み残しという事態が発生した。
「室蘭行」高速バスでついに積み残しが発生
4月29日午後の札幌駅前の高速バスのりばでは、バスを待つ乗客で大きな混雑をみせていた。旭川方面や室蘭方面に向かう高速バスは、車内に乗り切れんばかりの乗客を乗せ各方面へと発車していった。その中でも、16時発の便では、混雑した乗客に対応するために誘導員が出されるほどの状況だ。
発車前にバスに乗ろうとする乗客がやってくると運転手さんと誘導員さんがまだ乗れるかどうか相談をしながら対応を行っていた。しかし、全員がバスには乗り切ることができず、発車直前にはバスの中から乗車をあきらめた人が出てきたほか、バスの前でぼうぜんと立ち尽くしていた人もいたようだったが、この日は2台目の続行便を出し、ことなきを得たようだった。
現場を取材したYouTube「【北海道】乗り物大好きチャンネル」を運営する北のたぬきさんによると、運転手の方からは「混雑が急で対応に苦慮している」という話も聞かれたという。しかし、昨年から深刻化している運転手不足の問題から増便対応も難しいということが現状だ。
値付けと販売方法の失敗から道民が気軽に利用できなくなってしまったJR北海道の特急列車。さらに、積み残しがでるほど大混雑の高速バス。こうした問題から、高速バスの混雑を嫌った道民がさらにマイカーに流出してしまうこと。また、旅行自体を出控える人が増え、北海道経済の停滞につながってしまうことが心配される。
JR北海道は適正な値付けと販売方法に改めることで、利用者を呼び戻すことが重要ではないのだろうか。
高速むろらん号の積み残しの様子については5分16秒から紹介されています。
(了)