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シャビ就任後のバルセロナの「前進」と、露呈するウィークポイントを検証。

森田泰史スポーツライター
ブスケッツに指示を送るシャビ監督(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

「シャビはチームのメンタリティーを変えてくれた。フットボールの本質を取り戻して、バルセロニスタに歓喜を届けている」

これはジョアン・ラポルタ会長の言葉だ。昨年11月にシャビ・エルナンデス監督が就任した時、バルセロナは9位に沈んでいた。だがチームは立て直され、現在リーガエスパニョーラで3位に位置している。

■訪れた変化と基本布陣

シャビ監督就任後の変化で、まず注目したいのはシステムだ。シャビ監督は就任当初、【4−3−3】と【3-4-3】を使い分けながら戦っていた。攻撃時に左サイドバックのジョルディ・アルバが上がり、可変で3バックを採る形をシャビ監督は好んでいた。

だが冬の移籍市場でダニ・アウベスが登録可能になると、【4−3−3】が基本布陣になった。

特徴的なのは、アルバやアウベスといったサイドバックの選手の「中盤化」である。

先述した可変式3バック時においては、アルバが左インサイドハーフとしてプレーした。あるいは、リーガ第23節アトレティコ・マドリー戦のように、アウベスがボランチの位置でプレーする試合もある。

ゴールを喜ぶアウベスとアルバ
ゴールを喜ぶアウベスとアルバ写真:なかしまだいすけ/アフロ

一方、バルセロナの課題を挙げるとすれば、何だろうか?

ラ・リーガでは、徐々に「バルサ対策」が行われるようになってきている。バルセロナと対峙する時、有効なのはマンツーマンの守備だ。例えば、リーガ第27節エルチェ戦では、フランシスコ・ロドリゲス監督がこれを仕掛けてきた。

バルセロナは攻めあぐねた。加えて、守備のところで脆弱さを露呈した。フィデルの得点でエルチェが先制したが、今季のバルセロナは公式戦38試合中15試合で最初の枠内シュートを受けた際に失点を喫している。

マンツーマンでパスコースを塞がれ、プレス網に引っ掛けられてショートカウンターを喰らうと、ウィークポイントが出てくる。それがシャビ・バルサの現状だ。

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■ビルドアップの改善

バルセロナが改善すべきは、ビルドアップだ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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