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マドリーを沈めてシティが決勝に進出。ペップの執拗な「サイド・アタック」と奏功したビルドアップ封じ。

森田泰史スポーツライター
競り合うデ・ブライネとバルベルデ(写真:ロイター/アフロ)

スペイン勢が、大会から姿を消した。

今季のチャンピオンズリーグ準決勝、レアル・マドリーはマンチェスター・シティと対戦。ホームのファーストレグを1−1で折り返したマドリーだが、セカンドレグで0−4と大敗してベスト4敗退が決定した。

■シティの戦法

シティはファーストレグと同様の戦い方だった。ジョン・ストーンズをボランチに組み込み、【3−4−3】を形成。今季、積み重ねてきた戦術とシステムを大一番でぶつけてきた。

この布陣で、躍動したのがロドリ・エルナンデスだ。従来の【4−3−3】では、アンカーシステムで、度々、ロドリが中盤で「裸」になってしまっていた。しかし、ストーンズにプロテクトされるようになり、ロドリのパフォーマンスは間違いなく上がっていた。

中盤で躍動したロドリ
中盤で躍動したロドリ写真:ロイター/アフロ

対して、マドリーは【4−2−3−1】で臨む。ルカ・モドリッチをトップ下に、フェデリコ・バルベルデとトニ・クロースをダブルボランチにして、中盤で構えた。

シティ(中盤4枚)に対して、マドリー(中盤3枚)がミドルゾーンで数的不利になった。クロースあるいはバルベルデが釣り出されて、その背後のスペースをイルカイ・ギュンドアンやケヴィン・デ・ブライネに使われる。シティのカルテットに、マドリーのトライアングルが翻弄された。

■ハーランド対策への対応

ファーストレグにおいては、マドリーがうまくアーリング・ハーランドを抑えた。アントニオ・リュディガーがハーランドをマンマークして、尚且つ中盤の選手がデ・ブライネをケア。このコンビを「分断」することで、シティの攻撃力を低下させた。

だが、流石のグアルディオラ監督である。セカンドレグでは、「ハーランド対策」への対応を考えていた。デ・ブライネ、ハーランドに加え、ギュンドアンを押し出して、トライアングルを形成させる。

前述のように、マドリーはダブルボランチであるため、シティのインサイドハーフの2枚に引っ張られ、かつロドリとストーンズの球出しを阻害しなければならないという難解なミッションに駆り出された。

また、シティはファーストレグ以上にサイドを有効活用していた。ジャック・グリーリッシュ(左WG)、ベルナルド・シウバ(右WG)が両サイドでオープンに開く。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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