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食べログ4点以上の店に誘われない女性は低く見られているのか? 点数以外に確認したい3つの項目

東龍グルメジャーナリスト
(写真:アフロ)

店の評価

先日興味深い記事を拝見しました。梶原しげる氏の「しゃべりテク」に掲載されている記事です。

特に気になったのは、店への評価が誘われた人への評価という以下の部分。

梶原「たとえば、男性から、レストランで食事に誘われたとすると、そのサイトで店のことを検索する?」

彼女「もちろんです。店の評価は、すなわち私への評価でもあるからです。5点満点で4点以下だと、そういう風に見られているんだって、やっぱり思っちゃいますね」

出典:食べログの評価点は、誘う相手の「値打ち」なのか?

実際にそう思う人は多いのでしょうか。

ちなみに、後で述べますが、食べログで4点以上となると、ごく限られた店しかありません。

評価システム

まず、食べログの評価システムについておさらいしてみましょう。

<食べログ「ベストレストラン2014」に探り箸>でも同じようなことを述べましたが、食べログは以下のことを公にしています。

  • ユーザー影響度を加味している

投稿を繰り返しているレビュアーの影響度が大きい

  • 評価が集まらないと点数は付かない・変動しない

影響度が大きいレビュアーの数が少ないと点数が上下しない

  • 不正対策

算出方法は非公開で、日々見直している

  • 点数更新

毎月第1火曜日と第3火曜日の原則月2回に点数を更新している

出典:点数・ランキングについて

こういった不正対策や独自のロジックを使って点数を計算し、4.00点以上が全体のトップ500店前後、3.50点以上~4.00点未満が全体のトップ4%程度となっています。

運営ポリシー

食べログは「お店選びで失敗したくない人のためのグルメサイト」というコンセプトを持っており、運営ポリシーはこちらになります。

  • 本音を言える環境

満足した内容の口コミだけでなく、不満足だった内容の口コミも両方とも掲載

  • 中立公正

特定の口コミを削除したり、点数を変更したりしない

  • 質の追求

口コミの質(口コミを全件全文確認、やらせ業者・不正業者対策)、ランキングの質にこだわる

出典:口コミ・ランキングに対する取り組み(食べログ運営ポリシー)

特に不正投稿に対しては力を入れています。

携帯電話番号認証を導入して1人で複数のレビュアーを装うことを防いだり、やらせ業者通報窓口を設けて監視の目を増やしたり、口コミ数が少ないレビューアーの点数があまり反映されないようにしたりしています。

確認したい3つの項目

さて、食べログでの店の評価の仕組みが分かってきたところで、冒頭の話に戻りましょう。

件の女性は、4点以上の店に誘われないと低く見られていると述べていますが、4.00点以上の店は全体の僅かトップ500店しかありません。

このトップ500店はちょっとした食通であれば必ず名前を知っているような、予約がとれない極めて稀少な店です。従って、4.00点以上の店に誘われなかったから低く見られていると考えるのは、やや視野が狭いような気がします。

食べログにはせっかく 1570万件以上の口コミと詳しい情報があるので、点数だけを見ていてはもったいないでしょう。

私であれば、ある店に誘われた時に、食べログで以下の3つの項目を確認することをお勧めします。

  • 予算
  • 空間・設備
  • 利用シーン

それぞれについて説明しましょう。

予算

1人あたりが使った金額で、最も人数が多い金額帯が表示されています。最小「0円~999円」から始まって最大「30000円~」までの12の金額帯があります。

平均金額ではなく、最瀕の金額帯なので、実際にどれくらいお金がかかるのかを把握するのに有用でしょう。予算分布も視覚的なグラフで確認できるので、全体を理解し易いです。

点数も確かに意味はありますが、冒頭のように男性から誘われた時に気にするものとしては、金額帯も重要視した方がよいのではないでしょうか。

点数がそれほど高くなくても、金額帯が高いのであれば、単に選定した店が食べログで評価を得られていないだけで、それなりの金額がかかる店に誘っているわけなので、低く見られていないことになります。

空間・設備

空間の雰囲気や設備の有無など、14の項目のうち、その店に相応しいものが記載されています。

「オシャレな空間」「カップルシートあり」といった項目が記されていれば、デートに相応しい店を選んだということかも知れません。

「落ち着いた空間」であればじっくりと話したい、「カウンター席あり」であれば距離感を縮めたい、「ライブ・生演奏あり」であればより深い体験を共有したいなどが考えられます。

この項目を確認すれば、相手がどのように過ごそうとしているのか予想することができるでしょう。

利用シーン

どういったシチュエーションで利用するのがよいかという項目で、全部で7つあります。そこから相応しいものがいくつか掲載されています。

この中ではずばり「デート」というものがあるので、これが記載された店であれば、誘った相手はデートを意識して店を探したのではないでしょうか。「女子会」であれば、女性が喜ぶような店だと思って選んだのかも知れません。

反対に「家族・子供と」であれば大衆的な店であり、「大人数の宴会」「合コン」であればカジュアルで騒がしいのでカップルで過ごすには相応しくない店である可能性があります。こういった店であれば、相手はロマンティックな過ごし方を期待していないでしょう。

「接待」であれば、それなりに高級であったり格式があったりする店なので、低く見られていることにはなりません。

食べログの強み

これまでにも、<食べログ「グルメ著名人」はRettyを超えるのか、食べログをダメにするのか><「Retty」の「TOP USER(トップユーザー)」リリースと「食べログ」広告優先の検索結果問題>などで、食べログに関する記事を書いてきましたが、食べログのよいところは、点数で店を比較できるところに間違いありません。

膨大な選択肢があっても、数値化されていれば比較は簡単であり、店を選ぶ時間を短縮できます。

そして、食べログは自身の強みが点数であるとしっかりと理解しており、高い意識を持って運用しています。これはとても素晴らしいことです。

点数以外に想像を巡らせる

ただ、個人差が大きい食の体験では、数字だけを確認して、本当にその店が当人にとってよい店であるかどうかを判断することはやはり難しいでしょう。それだけに、誘われた店の点数だけを見て、相手との関係を推し量るのは残念な気がするのです。

食べログでは点数以外の情報も充実しているので、ただ点数だけを見比べて一喜一憂するのではなく、様々な項目を一つ一つ確認したり、投稿された口コミの本文を読んだりして、来るべき相手との食事がどのように展開されるのかと想像を巡らせてみることが、最も楽しい食べログの使い方なのではないかと、私は考えています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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