食べログ「グルメ著名人」はRettyを超えるのか、食べログをダメにするのか
グルメ著名人
グルメサイトの「食べログ」が2016年5月16日、スマホアプリをリニューアルすると共に「グルメ著名人」を開始しました。これは著名人による口コミや写真を見ることができるサービスで、食べログがユーザーの公認を始めたということです。
今回のリニューアルで、スマホアプリではタイムラインが表示され、フォローしているレビュアーの投稿が流れてくるようになりました。それと合わせて、食べログがグルメ著名人という公認ユーザーを設けて、タイムラインをより賑やかなものにしようとしています。
Rettyが先行
新しいサービスである印象を受けますが、実はライバルとされているRettyが、2015年から同じようなサービスを既に開始しています。それは、私もそのうちの1人として参加している「グルメ著名人」です。運営側が影響力のありそうな特定のユーザーを積極的に押し出すという性質も、さらにはその名前も全く同じです。
両者の「グルメ著名人」の違いは、食べログの方が人数が多いこと、そして、Rettyは食のジャーナリストが対象となっているのに対して、食べログは食のジャーナリストだけではなく、モデル、ミュージシャン、経営者など幅広い方が対象となっていることです。また、Rettyの「グルメ著名人」は、もともとRettyを使用していたユーザーでもありました。食べログは開始と同時に「グルメ著名人」に絡めたキャンペーンも行っており、その意気込みが窺えます。
Rettyは最近そのユーザーインターフェイスが食べログに似てきたと言われたりしています。しかし、今度はそれとは逆に食べログが、Rettyが先駆けて行っている「グルメ著名人」と同じようなサービスを同じ名前で始めたことは興味深いところでしょう。
Rettyへの意識
食べログは、ぐるなびやHotpepperと違い、店ではなくユーザーに比重をおいたサービスを提供しています。その強みは、日本最大級を誇る口コミや写真の投稿数、さらには点数やランキングによる分かり易い評価方式です。それによって、ユーザー数を伸ばし、大きなグルメサイトになっていることは周知の事実でしょう。
また、見るユーザーだけではなく、投稿するユーザー「レビュアー」も育っており、「うどんが主食」氏や「K.ハミルトン」氏といった数多くの著名レビュアーがいて、テレビや雑誌などにも露出してインフルエンサーとなっています。
2007年度版から行っている「ベストレストラン」が年に1度の大きなイベントに成長したり、自由なテーマでまとめ記事を作成できるグルメキュレーションサービス「食べログまとめ」を2014年11月13日にリリースしたりと、食べログにはまだまだ勢いがあるように感じられます。
ただ、ここ1、2年で、実名による信頼性やつながりのある人によるオススメを中心に据えるRettyが台頭してきました。食べログもRettyのことを十分に意識しています。その証拠として、口コミ数の論争を見ても分かるようにRettyを牽制したり、今回のようにソーシャル的な要素を強めたりしているのです。
注目点
これまでの食べログは主に点数やランキングによってお店を比較してきましたが、これからは、タイムラインに流れる、レビュアーの口コミからもお店を選ぶことができます。つまりこれは、能動的な店選びに加えて、受動的な店選びも提供するということであり、よりライトなユーザーが利用するのを促進するのではないでしょうか。ただ、Rettyのように実名となっているわけではないので、その匿名ユーザーによるタイムラインがどれだけ影響力を与えられるかは、まだ分かりません。
また、TwitterのつぶやきやInstagramの写真とは違って、参考となる店の口コミとなるためには、ある程度のテキストの量や写真の数が必要です。食を本業としない方が中心の「グルメ著名人」が、有用な口コミをどれだけ投稿し続けていけるかは未知でしょう。食べログのグルメ著名人は影響力のある方ばかりなので、食べログの強みである点数を、正直に付けることも難しいかも知れません。
さらには、このグルメ著名人を始めたことによって、これまで数多くの有用な口コミを投稿し、食べログの発展に寄与してきた匿名の著名レビュアーがやる気をなくしてしまうことも考えられます。匿名の著名レビューの投稿が鈍ってきてしまうと、食べログはその根幹が揺らいでしまうのではないでしょうか。
グルメが本業ではない「グルメ著名人」を開設したことにより、食べログがどう変わっていくのか見守っていきたいです。
元記事
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