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我が国のカジノ合法化に向けた好材料3点

木曽崇国際カジノ研究所・所長

紆余曲折ありましたが、何とか今期通常国会中に動き出した我が国のカジノ合法化とIR導入に向けた検討。正直、ハラハラしながら見守っていたところもあり、個人的にはホッとしました。勿論、今はただ「検討が始まった」というだけであり、本番はこれからですが。

一応、以下にここ数日でバタバタと出てきた好材料を如何にまとめておきます。

まずは昨日、速報でお伝えした衆院内閣委員会におけるIR推進法案の審議入り。本日9時からスタートとなりますが、その模様は以下のインターネット中継で見る事が出来ます。また、ライブで見られなかった場合には(僕も業務の関係上見られない)、後日、アーカイブが公開されるはずです。

衆議院インターネット中継

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

次に好材料となっているのが、安倍政権が今月27日に閣議決定するとされている新・成長戦略に関して。コチラに関しても、すでに素案が挙がってきていますが以下のようにIRの検討が明記されそうです。

「日本再興戦略」の改訂について(素案)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai17/siryou2.pdf

・統合型リゾート(IR)については、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待されるが、その前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法案(※)の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める。

※ IR推進法案:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

そして、昨日、観光立国推進関係閣僚会議にて決定がなされた「観光立国実現に向けたアクションプログラム2014」にも上記の新成長戦略に含まれるのと同様の文言が記載されています。

観光立国実現に向けたアクション・プログラム 2014

-「訪日外国人2000万人時代」に向けて-

http://www.mlit.go.jp/common/001043606.pdf

(3)IRについての検討

統合型リゾート(IR)については、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待されるが、その前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法案(※)の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める。

※ IR推進法案:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

アクションプログラムに関しては、実は昨年6月に発表された旧バージョンからの引継ぎとなりますが、実は昨年版と比べると少し書きぶりが変化していることが見て取れます。以下は旧バージョンにおける記述。

観光立国実現に向けたアクション・プログラム(旧バージョン)

https://www.mlit.go.jp/common/001000830.pdf

(4)IR

○統合型リゾート(IR)について、IR推進法案の制定の前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止などの観点から問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討を関係

府省庁において進める。

微妙なニュアンスの違いとなりますが、旧バージョンの表記では「問題を生じさせたいために必要な制度上の措置の検討を関係府省庁において進める」となっていました。すなわち、関係府省庁で進めるのは、あくまで「各種社会問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討」に限定されていたわけです。一方、今回の2014年版での表記は、文法上「関係省庁において検討を進める」となっていますが、その進める対象となっているのは、文頭にある「統合型リゾート(IR)については」になるんですね。

すなわち…

【新バージョン】

統合型リゾート(IR)については、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待されるが、その前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法案(※)の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める

【旧バージョン】

統合型リゾート(IR)について、IR推進法案の制定の前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止などの観点から問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討を関係府省庁において進める

という形で、旧バージョンと比べるとより積極的な書きぶりになっています。あと、検討をする主体に関しても、「関係府省庁」(旧バージョン)となっていたものから、「関係省庁」(新バージョン)へと変更が行なわれています。非常に微妙なニュアンスに見えますが、行政文書ってこういった細かいところが意外に重要だったりします。(「何でわざわざ以前の表記を変更したのか!?」的に…)

ということで、まずは本日開催予定の内閣委員会での審議開始を見守りたいですね。現、エントリを書いている時刻は午前8:45、あと20分足らずで審議スタートとなります。(僕はこれから会議なのでライブで見られませんが)

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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