北海道豪雨でJR石勝線と道東道が寸断 心配される農産物輸送への影響
2024年8月31日に北海道内で発生した豪雨によりJR石勝線の川端ー新夕張間の線路内に土砂が流入し、同区間を運行する特急列車や貨物列車が運休となった。JR石勝線は札幌と十勝・釧路地方を結ぶ幹線路線であり、運休となった特急列車は札幌ー帯広間を結ぶ特急とかち号、札幌ー釧路間を結ぶ特急おおぞら号だ。現時点で再開の見込みは立っていないという。
また、同路線には札幌や本州方面と十勝・釧路地方を結ぶ貨物列車も運行されており、北海道十勝地方で生産される農産物の輸送も貨物列車により行われていることから復旧までの期間が長引けば、本州方面への農産物の出荷への影響も心配される。
2016年の豪雨災害でJR石勝線が不通となった際には、貨物列車の代替輸送はトラック便により行われたが、当時の様子を知る関係者によると「北海道内のドライバーだけでは賄いきれずに、本州からドライバーの応援を頼み貨物列車の代行輸送をやり遂げたという」。それでも、代行トラックで運びきれない鉄道コンテナが貨物駅で滞留する事態が発生していた。
2024年度になり、トラック業界はドライバーの残業規制が強化されたうえに、慢性的な人手不足が続いていることから、現在のほうが2016年よりも貨物列車をトラック便で代行することのハードルが上がっている。北海道十勝地方では8月の下旬に5月に植え付けされたジャガイモの収穫最盛期を迎えることから、特にジャガイモの出荷への影響が心配される。
近年は、自然災害や大火災、テロ攻撃などの緊急事態に備えて被害を最小限にとどめておくためのBCP(事業継続計画)や、国家のリスク分散の観点から鉄道の迂回ルート整備の必要性が唱えられるようになっているが、貨物列車の迂回ルートとしての可能性があった根室本線の新得ー富良野間をJR北海道と北海道庁はこの3月31日に廃止してしまった。
さらに今回の豪雨では、道東自動車道の追分町インターチェンジ(IC)―夕張IC間(約20キロ)で土砂崩れが発生し通行止めとなっていることから道路交通への影響も甚大だ。
(了)