殺人の滝(さつうぜんの滝)という、やたらぶっそうな由来の滝が尻焼温泉に向かう道にあったので寄ってみた
群馬県に尻焼温泉というユニークな温泉があります。なんと川がそのまま温泉。川底からプクプク温泉が湧いていて、川遊びをしながら入浴できます。
そんな尻焼温泉の話はまたいずれ詳しくするとして、今回はその尻焼温泉に行く途中に思わず二度見した看板の滝をご紹介したいと思います。
その名も「殺人の滝」!
嘘でしょ?と思ってつい寄ってみたくなりますよね。
殺人の滝の看板を目にする
群馬県の吾妻郡にはかつて六合(くに)村という市町村がありました。2010年に中之条町に合併されて、現在はその名前は残されていません。
当時六合村であったエリアには、尻焼温泉、花敷温泉といった温泉地があり、また寒さ厳しい草津温泉で宿などを運営していた人々は、冬は六合村まで下りてきて生活する冬住みという習わしが明治時代まで行われていました。
今回の滝があるのはその六合村だったところです。
その六合村だった場所を、応徳温泉から尻焼温泉に向けて車を走らせていた時です。たまたま目にした観光用の看板に、目を疑うような文字を発見してしまいました。
殺人の滝!
すわ、なにごと!?
一度はやり過ごし、そのまま尻焼温泉まで行って温泉に川の入ったのですが、やはりあまりにも気になるので温泉からの帰りに立ち寄ってみることに。
それにしても驚くのは道々の看板に、「コブシの大木まで260m」「長塚節歌碑・牧水歌碑・しだれ栗」といったのどかな観光名所案内とともに「殺人の滝歩道入口まで900m」とか、あっさり書かれていることです。はい?殺人の滝?マジで?
駐車場に殺人の滝の説明があった
看板の示す方向に進んでいくと遊歩道の駐車場がありました。そこに立っていた看板が、上の「世立(よだて)八滝」の看板。
殺人の滝は世立八滝の一つであり、他に大仙の滝、段々(だつた)の滝、箱の滝、久内(きゅうない)の滝、不思議の滝、井戸の滝、仙の滝といった7つの滝があるようです。また、殺人の滝は"さつじんの滝"ではなく"さつうぜんの滝"と読むようです。
なお、この時までは、いくら「殺人の滝」という名前でも、何か違う由来があるのだろうと考えていました…が…。
看板の説明によると、本当に殺人現場だったようです。
いやはや本当に殺人が行われたことが由来だったのですね。ネーミングはそのまんまでした。火の玉ストレートです。
といっても言い伝えとあるので、江戸時代とかかなり古い話ではないかと思います。そしてもちろん、そう伝わっているだけで、本当に殺人が行われたかどうかはこの説明だけでははっきりしません。
非常に興味深いお話で、検索すればオンライン上で元になった民話について書かれているものも見つかりますが、きちんとした資料を調べずに書くわけにはいかないので、このことはいずれ折を見て調べてみたいと思います。
読み方は「さつじん」ではなく「さつうぜん」ですが、これは口語で伝わった発音をそのまま書いているのかもしれません。
ただ、ストレートに「殺人の滝」ではなく、「〇〇ごろしの滝」みたいな名前であれば、もっと日本昔話チックでこれほどのインパクトはなかったと思います。
殺人の滝まで下りてみる
駐車場から殺人の滝までの距離は約400m。ただし、看板の図によると、殺人の滝までは2ヶ所ほど急な階段があるようです。
最初の道はほぼフラット。楽勝です。
歩き始めてすぐ、諏訪神社がありました。お参りして先を急ぎます。
途中の分かれ道。直進すれば金毘羅山方面、左斜め前方は世立八滝の段々の滝、仙の滝方面となっていますが、通行止めになっていました。殺人の滝は鋭角に左に曲がります。こちらは通行止めにはなっていません。
この辺から段々階段になってきます。
最後は、えっ、本当にこれを下りるの?という急階段です。でも滝も見えます。あとひと踏ん張り。
この時点で頭の中は火曜サスペンス劇場のテーマ曲がぐるぐる回っています。
到着しました。本当に「殺人(さつうぜん)の滝」です。
観瀑できるプラットフォームは広くありませんが、滝そのものはなかなかの迫力です。ここでその昔、何が起きたのかはさておき、実際に見られて良かったです。
あとの問題は、ここまでせっせと降りてきた急階段を、今度はせっせと上らなくてはならないことだけです。
というわけで、殺人の滝までの遊歩道は、手すりの付いた階段などがありしっかり整備されていました。足元はかなり落ち葉が積もっているので少し滑りやすいかもしれません。しっかりしたハイキングシューズなどで行くことをお勧めします。
群馬県には他にもぶっそうな地名が
また、X(エックス)でこの滝のことをポストしたところ、インパクトの強すぎるネーミングからたくさんの人に見て頂けたようで、メンションや引用ポストで大喜利化したり面白い情報がいろいろ寄せられたりしました。
複数の方からは、他にも群馬県には「三途川」や「自害沢川」というぶっそうなネーミングの地名があると教えていただきました。
見つけた看板からぶっそうな名前の滝を訪ねるのは、なかなか面白い体験でしたので、これから尻焼温泉や花敷温泉に行かれる方はついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
参考までに、殺人の滝(さつうぜんの滝)最寄りの駐車場の位置はこの辺りです。
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※後日、尻焼温泉の記事も執筆しました。良かったらこちらもご覧ください。