【速報】第7回食品ロス削減全国大会 in 金沢、2023年10月30日開催 第1〜6回大会を振り返り
2023年10月30日(月)、石川県金沢市の金沢市文化ホールで、第7回食品ロス削減全国大会が開催された。およそ700名が全国から参加した。
第1回から第6回までの開催地と主催者
この「食品ロス削減全国大会」の目的は「食品ロス削減に向けた機運の醸成を図ること」である。日本政府が定めた食品ロス削減の日(10月30日)に、以下のように、毎年、全国各地で開催されてきた。
2017年 第1回 長野県松本市(3)
2018年 第2回 京都府京都市(4)(5)
2019年 第3回 徳島県・徳島市(6)(7)
2020年 第4回 富山県(8)
2021年 第5回 愛知県豊田市(9)
2022年 第6回 埼玉県さいたま市(10)
筆者は第1回プレイベントで2回講演し(銀座NAGANOで2017年9月24日、イオンモール松本で10月29日)、富山県での第4回開催では基調講演を務めた。
第7回食品ロス削減全国大会 in 金沢の概要
オープニングパフォーマンスでは金沢素囃子(すばやし)が披露された。
金沢市長 村山卓(たかし)氏の挨拶に続き、消費者庁からは内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)自見はなこ氏が、環境省からは環境再生・資源循環局次長の角倉一郎氏が祝辞を述べ、農林水産大臣のメッセージが代読された。
来賓紹介に続き、食品ロス削減推進表彰の表彰式が開催され、次の賞をはじめ、受賞者が表彰された。
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞
オイシックス・ラ・大地株式会社(東京都)
環境大臣賞
mottECO 普及コンソーシアム 2023
消費者庁長官賞
カネハツ食品株式会社(愛知県)
マルハニチロ株式会社(東京都)
環境事務次官賞
生活協同組合コープこうべ(兵庫県)
株式会社 Mizkan Holdings(愛知県)
コープこうべ「てまえどり」啓発の経緯
受賞者の取り組み紹介の中でも、コープこうべが2016年から啓発を続けてきた「てまえどり」の取り組みが印象に残った(12)(13)(14)。
2016年、コープこうべで始めた
2018年、神戸市と一緒に行った
2019年全店舗で展開した
2020年に「これだけ廃棄が出ている」という店舗の生の情報を公開した
その後、消費者庁、環境省、農林水産省が強力に後押しし、
2022年に新語・流行語大賞のトップ10に「てまえどり」が選ばれた
トークセッションでは次の方々が登壇した。
ファシリテーター:池本 良子氏(金沢大学名誉教授)
パネリスト:
崎田 裕子氏(全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会会長)
中里 知氏(石川県調理師会理事)
野々村 真希氏(東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科准教授)
野村 京子氏(かなざわ食マネジメント専門職大学講師)
宮野 義隆氏(石川県農業法人協会常務理事)
トークセッションでは、石川県で活動している宮野義隆氏、中里知氏、野村京子氏が、金沢ならではの食文化とともに、自身の活動を紹介した。
宮野氏は、「じゃがいもは、小さいものはよくないと思われている」と話し、そのような「規格外」の小さなじゃがいもが2トンも出ていた。でも、それを「欲しい人にあげます」と呼びかけたところ、なんと2トンもあったのがすべてなくなってしまったそうだ。
崎田氏と野々村氏は、専門家の立場からアドバイスやコメントした。
トークセッションの後は、お笑いトリオ・ロバートの馬場裕之さんによるトークショー『「食品ロス」から考えるロバート馬場の「ばばっとレシピ」』が開催された。
福岡県出身のロバート馬場さんは、小さい頃から料理が好きで、大根の葉やニンジンの葉を美味しく食べるなどの工夫をしてきた。壇上では、次のような食品ロス削減のヒントを教えてくれた。
きのこ類は特売の時に買って冷凍保存しておく
えのきだけはみじん切りすると肉のかさ増しになる
オクラ3パックをひとまとめ100円で買ってきて活用する
大根を細切りにしてフレンチフライのようにして揚げる
プリンやチョコレート、ゼリーを冷凍させる
刺身が余ったら酒粕と味噌を混ぜたものに漬けておいて焼く
卵はゆでるより生の方がもつ
卵の賞味期限が切れても加熱調理すれば食べられる
金木犀の花をジンに漬ける
余ったシナモンスティックを焼酎に漬ける
食品ロス削減のヒント、食品ロス削減クイズの次は、石川県の地元野菜、加賀れんこんを使った簡単なレシピを2品、紹介してくれた。
1つめは、加賀れんこんのピザ。皮付きのままのれんこん、玉ねぎ、ピーマンを、それぞれスライサーでカットし、フライパンにのせる。そこにピザソースと溶けるチーズをのせて、片面3分ずつ焼くと、美味しいピザができる。
もう1つは、加賀れんこんのきんぴら。こちらもスライサーでカットし、お皿にのせて、お酢をかけて電子レンジにかける。チンしてから、醤油、胡麻油、一味唐辛子と炒りごまをかけて出来上がり。
ブース展示
ブース展示では、次の組織が出展した。
石川県
石川県生活学校連絡会
ウフフドーナチュ
SDGs石川県未来創生プロジェクト
NPO法人いしかわフードバンク・ネット
大阪府環境農林水産部流通対策室
金沢市環境政策課
金沢市ごみ減量推進課
金沢大学学生チームわこころ
株式会社アッシェ
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
環境省
消費者庁
ニチバン株式会社
農林水産省
農林水産省 北陸農政局
松本市
mottECO普及コンソーシアム
パネル展示
パネル展示は次の組織が出展した。
青森県環境政策課
NPO法人フードバンクいしかわ
愛媛県
学校法人 石川県調理師専門学校
神奈川県
金沢星稜大学 経済学部 岸本ゼミナール
京都府 京都市
星稜中学校
富山県
長野県 資源循環推進課
福井県
第1回から第6回までの振り返り
筆者は、2017年の第1回から今回2023年の第7回まで、6回参加した。2021年の時は、同じ日に愛媛県主催の食品ロス削減大会で基調講演をしたので欠席したが、それ以外はすべて参加した。
2017年 第1回 長野県松本市
2018年 第2回 京都府京都市
2019年 第3回 徳島県・徳島市
2020年 第4回 富山県
2021年 第5回 愛知県豊田市
2022年 第6回 埼玉県さいたま市
2023年 第7回 石川県金沢市
第6回のさいたま市のみ、専門家や現場で活動する方のパネルディスカッションがなかったのが残念だったが、他はすべて、基調講演に加えて、複数の方が登壇するパネルディスカッションが非常に勉強になった。中でも、第2回の京都市では、人数が多すぎるくらいの登壇だったが、それだけに密度が濃く、情報量も多くて充実していた。
2017年に大会を主催した松本市は、宴会の食べ残しを防ぐ「3010(さんまるいちまる)」運動の発祥の地として知られている。
2018年の京都市は、全国政令指定都市の中でも最も家庭ごみが少なく、市としても、宴会の食べ残し削減やスーパーの食品ロス削減に関するさまざまな実証実験を実施し、2000年からほぼ20年かけて、年間82万トンから41万トンへと削減を達成した。
2019年の徳島県・徳島市は、消費者庁の一部のオフィスがある。上勝町は、日本で初めてゼロウェイスト宣言した自治体として、よく知られている。
2020年、富山県が主催の時にはコロナ禍で大変だったが、時期を12月にずらして、無事にリアル開催が実現できた。
2021年は、愛知県豊田市が主催(筆者、愛媛県松山市で講演のため欠席)。
2022年のさいたま市は、「食品ロス削減チーム川口」の仲間と参加したが、基調講演もパネルディスカッションも無く、学ぶ要素が薄かった...というのが彼らの感想だった。筆者も、さいたま市や埼玉県で活動している方の話を聴きたかったと感じた。
そして今回、2023年の金沢市での開催は、地域の食文化を生かし、トークセッションでは地元で活動している生産者や料理家、教育者が登壇し、現場でしかわからない情報や知恵を提供していただけて、充実した学びの機会になった。
全体のうち、前半に省庁や主賓の挨拶が多かったが、やや冗長に感じた。講演やパネルディスカッションなどを多くした方が、参加者にとっての学びになると思う。
本日の開催に至るまでの準備から本番の開催まで、とても大変だったと思う。大会関係者の方々に敬意を表したい。
大会概要
(金沢市公式サイトより)
第7回食品ロス削減全国大会 in 金沢
日時:令和5年10月30日(月曜日)
メイン大会:12時30分(11時45分開場)~16時30分 ※事前申込が必要です。
パネル・ブース展示:11時00分~17時00分 ※事前申込不要
場所:金沢市文化ホール(金沢市高岡町15-1)
メイン大会:大ホール パネル・ブース展示:大ホールホワイエ
定員:800名(先着順)
入場無料
プログラム
11:00 大ホールホワイエ開場(※パネル・ブース展示)
11:45 大ホール 開場
12:30 オープニングパフォーマンス「金沢素囃子」
12:50 開会(主催者挨拶/来賓祝辞/来賓紹介)
13:15 食品ロス削減推進表彰 表彰式
14:00 休憩
14:20 トークセッション
テーマ:おいしく残さず食べまっし~金沢の食文化と食品ロス削減について~
15:20 休憩
15:40 ロバート 馬場氏によるトークショー・実演会
テーマ:「食品ロス」から考えるロバート馬場の「ばばっとレシピ」
講演者:ロバート 馬場 裕之氏
16:30 閉会
参考情報
1)第7回食品ロス削減全国大会in金沢を開催します!(石川県金沢市)
2)参加者募集チラシ(主催:金沢市、金沢市食品ロス削減推進協議会、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会、共催:消費者庁、農林水産省、環境省)
3)第1回食品ロス削減全国大会~広げよう30・10inまつもと~を開催しました (松本市市制施行110周年記念事業)(長野県松本市、2021年12月20日)
4)「食品ロス削減全国大会 in 京都」を開催しました。(京都市、2018年11月6日)
5)2018年10月30日 食品ロス削減全国大会in京都開催 速報(於:京都大学百周年時計台記念館)(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2018年10月30日)
6)「食品ロス削減全国大会in徳島」を開催しました!(徳島県、2019年11月6日)
7)【速報】本日、食品ロス削減全国大会in徳島 食品ロス削減推進法施行後、初の開催(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2019年10月30日)
8)食品ロス削減全国大会 in 富山 〜使いきり 食べきり すっきり エコライフ〜(2020年12月20日、富山県、富山県民会館ホール)
9)市制70周年記念事業「食品ロス削減全国大会in豊田」を開催しました!(愛知県豊田市、2022年4月26日)
10)「第6回食品ロス削減全国大会inさいたま」を開催しました!(埼玉県さいたま市、2022年12月19日)
11)「令和5年度食品ロス削減推進表彰」受賞者決定(消費者庁、2023年9月29日)
12)「てまえどり」が新語・流行語大賞2022 トップ10に選ばれました!(コープこうべ、2022年12月1日)
13)「てまえどり」すぐ食べるなら手前からとってね!食品ロスを減らすコープこうべと行政の連携(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2020/4/8)
14)新語・流行語大賞2022年トップ10選出!「てまえどり」を最初に考えたのは誰?(井出留美、Yahoo!ニュースエキスパート、2022/12/2)