どこよりも早い真夏のクリスマスケーキ発表会2016年
真夏のクリスマスケーキ発表会
まだ暑さが続いており、半袖でも十分に外を歩ける天候ですが、この時期から既に、ホテルのクリスマスケーキ情報戦線は始まっています。
昨年も「真夏のクリスマスケーキ発表会、そして新たな楽しみ方」という記事で紹介しましたが、今年も同様に夏から始まっているのです。
これまでのところ、以下の通り、各ホテルで発表会や試食会が行われています。
- 2016/08/23 リーガロイヤルホテル東京/発表会
- 2016/08/25 ハイアット リージェンシー 東京/発表会
- 2016/08/29 京王プラザホテル/試食会
これからますます、クリスマス発表会が行われますが、まずは速報として8月分をご紹介しましょう。
リーガロイヤルホテル東京
私が知る限り、2016年で最も早くクリスマス発表会を行ったのは、リーガロイヤルホテル東京です。毎年クリスマス発表会の時期が早いホテルですが、より多くの注目を獲得するべく、今年は一番最初に行うことを目指し、それを実現できました。
クリスマスケーキだけではなく、全ての料飲施設におけるクリスマスプランも発表し、試食まで提供しました。クリスマスケーキだけでも大変であるのに、この時期にレストランプランも全て決めるのは非常に難しいことです。何故ならば、クリスマスの半年以上も前に、今年のトレンドを予想しながら、メニューを作り上げることは容易ではないからです。しかも、大々的に発表した後は変更もできません。それだけにリーガロイヤルホテル東京のクリスマスにかける意気込みが、よく伝わってきます。
クリスマスのテーマは「ROYAL CHRISTMAS ~大切な人と過ごすひととき~」。12月23日(金)が天皇誕生日なので23日から25日までは3連休となります。3日間も自由となる時間があり、大切な人たちと過ごせる機会が増えるため、このようなテーマを掲げました。
クリスマスケーキは4種類とそう多くありませんが、印象的なものを用意しています。昨年、サンタクロースがスクラムを組んだ「サンタクロース・エール」が大ヒットし、受注した数よりも断った数の方が多かったというほど人気を博しました。今年はサンタクロースからトナカイへと肩を組み直し、「トナカイたちのエール」を1日10台限定で販売します。それぞれのトナカイは表情が異なっており、大切な人とクリスマスを楽しく過ごせるように応援しています。
シェフ・パティシエ 石和悟氏曰く「昨年はフランボワーズとピスタチオを、今年はバターとプラリネのクリームを使った。トナカイが重たいので、沈んでしまわぬよう、しっかりとしたクリームを選んだ」と工夫点を述べます。
クリスマス・カップスイーツ「タンサ!」は洒落が効いています。サンタを逆さにした名前の通り、煙突に入っていくために逆さまになったサンタクロースを陶器にし、中にはチョコレートプリンとイチゴのムースを入れています。
レストランのプランも決定しています。「日本料理 なにわ」では「クリスマス会席 ~日本料理とワインのマリアージュ~」を、「中国料理 皇家龍鳳」では中華とフレンチのデザートを食べられる「チャイニーズ&フレンチのクリスマスデザートコラボレーション」をランチの「聖歌」コース、ディナーの「聖夜」コースで提供。ブッフェが人気の「ダイニング フェリオ」は「ロイヤルクリスマスビュッフェ」と題し、ローストチキンがブッフェ台に登場します。
さらには吹き抜けが気持ちよい「ガーデンラウンジ」でも「ディナーコース ノエル」を提供したり、「セーラーバー」でシャンパンカクテル「ベリー・メリー・クリスマス」を創作したりと、クリスマス需要をできるだけ取り込もうとしています。
これだけのものを半年も前に作り上げて、発表会も行えるのは、ひとえにリーガロイヤルホテル東京の底力であると考えてよいでしょう。
ハイアット リージェンシー 東京
ハイアット リージェンシー 東京は、今年で5回目となるクリスマス発表会を行いました。クリスマスケーキと同時に、例年通り秋の新作ケーキも披露しています。せっかく発表会を行うのであれば、より多くのケーキをPRできた方がよいので、効果的であったと言えるでしょう。
今年のテーマは「スタイリッシュで可愛い」を目指した「おとなかわいい」。
私が「「オトナカワイイ」デザートブッフェの時代へ」で述べたデザートブッフェの新たな潮流と合致しています。
クリスマスケーキの特徴は、ヨーロッパのトレンドを取り入れて複雑なデザインとノスタルジー溢れる味わい。これに加えて、シェアし易いように工夫もしています。
「クリスマスツリー」「スノーマン」などの新作4種類や、昨年からリニューアルした「ブール・ド・ノエル」などを含む全7種類のクリスマスケーキを用意しています。
「クリスマスツリー」がペストリー・ベーカー料理長 佐藤浩一氏、他はペストリー・ベーカリー課 ペストリー シェフ 仲村和浩氏が考え出したケーキです。
また「シュトーレン」はもちろん、「パン・ド・ノエル」「パン・ド・エピス」「クグロフ」といったフランス アルザス地方のクリスマススイーツも取り揃えられています。
「クリスマスツリー」は限定10台です。高さが40センチもあり、遠くからでもよく目立ちます。130枚以上ものチョコレートを使い、モミの枝葉を一つ一つを組み立てていくという非常に手間のかかる工程を要します。もちろん見た目だけではなく、イタリア「ドモーリ社」の「アリバ・オ・レ」を使って食味も追求しています。
「スノーマン」は限定80台。雪だるまが7体並んだ可愛らしいクリスマスケーキです。仲村氏は「ビジュルにとことんこだわったので、ピスタチオを絞ってから頭を載せるなど細かい作業ばかりであった」と述べ、「スノーマンごとに分ければよいので、どうカットすればよいのか迷わない」とシェアし易いとします。
「ブール・ド・ノエル」は限定80台で、「ドモーリ社」の「スル デル ラゴ」「アリバ」「サンビラーノ」の3種類のチョコレートを使い、異なる3つの味わいを楽しめるようにしています。3種類のチョコレートを使った理由を「食べ比べてみた感想を話し合い、会話が弾むようになれば嬉しい」と仲村氏は気持ちを込めて説明します。
さらには「箱を開け、ケーキを目にした時に驚いていただきたい。しかし、味は奇をてらっていない。人は知っている味が一番おいしいと感じるので、安心できる馴染みの味を徹底的にブラッシュアップした」と語れば、佐藤氏は「クリスマスケーキ発表会はパティシエにとっては大舞台。これからも、質の高いものを作って注目されるように頑張っていきたい」と想いを話します。
佐藤氏と仲村氏の最高の師弟コンビによるクリスマスケーキは今年も食べ逃せません。
京王プラザホテル
京王プラザホテルでは小規模のクリスマスケーキ試食会を行い、それぞれのケーキについてしっかりとした説明を行いました。昨年は「シンデレラ」、今年は「白雪姫」をテーマにしており、そのストーリー性やテーマ性を非常に重要視しています。そのため、大々的な発表会ではなく、少人数でも内容の濃い賞味会を行ったのです。
クリスマスケーキは8種類ありますが、製菓調理長 穐山敏信氏が考えたものは、スペシャリテの「プルミエ・ダムール」と「ブッシュ・ド・ノエル」の2つです。他のケーキ6種類は、他のパティシエが考えました。多くのパティシエが考えることによって、よりバラエティに富んだクリスマスケーキを揃えすることができ、客の選択肢も増やしています。もちろん、穐山氏以外のパティシエが考えたクリスマスケーキも、穐山氏が監修して磨き上げているので味は保証付きです。
「プルミエ・ダムール」は国産小麦、名古屋コーチンの卵、とちおとめ、中沢乳業と共に配合を決めた2種類の生クリームから構成されています。1日に2回、午前と午後に作るので、状態も最高です。「プルミエ・ダムール」が人気がありすぎるため、もう1つスペシャリテを作る必要があるということで、4年前に穐山氏によって新たに生み出されたのが「ブッシュ・ド・ノエル」。食味と栄養価の高い「しまんと栗」、ヘーゼルナッツ生地、プラリネ、ビスキュイショコラを使い、「大人のブッシュ ド ノエル」を志向しています。
スペシャリテ以外のクリスマスケーキは、どれも独創的です。女性パティシエ(パティシエール)望月希氏が考案した「魔法のプリンセス ~りんごと純白のレアチーズ」はクリスマスケーキにしては珍しいレアチーズケーキで、花に囲まれた白雪姫と蝶が戯れる楽しくて甘い時間を表現。緑のフォレノワール「こびとの森 ~抹茶とショコラのワルツ~」は白雪姫が迷い込んだ七人のこびとが暮らす森をイメージし、「真実の鏡 ~ホワイトチョコレートとタルト・他端の誘惑~」は白雪姫の中でも最も有名なシーンを描き出しています。
アイスケーキも取り揃えており、他のホテルでは見掛けられないものが多いのは強みです。
京王プラザホテルでは毎月、全てのパティシエに等しく社内コンペティションに応募する機会を与えて、選ばれた1つのスイーツを「マンスリースイーツ」として大々的に売り出しています。このように、普段から若手がチャレンジして表に出る機会があるからこそ、クリスマスケーキという大舞台で力を発揮できるのです。
広報の石川綾子氏は「クリスマスは3連休となっている。バラエティに飛んだクリスマスケーキをご用意しているので、1日1つ、3日間で3つのクリスマスケーキを食べ比べていただくのもお勧め」と新しいクリスマスケーキの楽しみ方を提案します。
9月以降のクリスマスケーキ発表会にも注目
まだ8月だというのに、3つのホテルとも非常に興味深いクリスマスケーキを用意しました。リーガロイヤルホテル東京は昨年人気に火が点いたスクラム型のケーキを主軸に据え、ハイアット リージェンシー 東京は佐藤氏と仲村氏による実力を全面に押し出して芸術性を高め、京王プラザ・ホテルは「樹林」のデザートブッフェでも成功しているようにテーマ性を改めて強く打ち出しています。
他のホテルもこのクリスマスケーキのことを知っているだけに、9月以降のクリスマスケーキ発表会がどうなるのか楽しみです。引き続きまたご紹介していきましょう。
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元記事
元記事はレストラン図鑑にあるのでご参考にしてください。