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スタバで「怪しい勧誘」が増える3つの理由 なぜファミレスではなくスターバックス?

横山信弘経営コラムニスト
雰囲気のいい場所で勧誘されると断りづらい……(写真:イメージマート)

スターバックスでコーヒーを飲みながらくつろいでいたら、隣の席で怪しげな勧誘をされている人を見た経験はないだろうか。私はたくさんある。そしてそういうとき、このような疑問を抱く人もいるはずだ。

「なぜファミレスや喫茶店ではなく、スタバが選ばれるのか?」

と。

今回は、怪しい勧誘をする人がなぜスターバックスを選ぶのか? 空間の使い方や効能についても解説する。怪しい勧誘から身を守りたい人、興味がある人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■怪しい勧誘の特徴と事例

怪しい勧誘には、いくつかの共通した特徴がある。

(1)具体性に欠ける内容

(2)不自然なリターン

(3)巧みな選民意識

一つ一つ解説していこう。

怪しい勧誘の特徴一つ目は、情報が不明瞭で具体性に欠けることだ。「簡単に稼げる」「大きなリターンが期待できる」といった魅力的な言葉を並べるが、肝心なビジネスの中身や投資のリスクについてはほとんど触れられない。

怪しい勧誘の特徴二つ目は、「ラクして/短期間で/高いリターン」が約束されることだ。ただ最近は怪しまれないように、「1ヶ月で100万円稼げる」「1日5分だけで年商1億」といった、常識的に考えて疑わしいリターンを提示されることは少ない。

少し苦労するかもしれない。すぐに稼げるわけではない。しかし現実的には「うまい話」を提案される。

怪しい勧誘の特徴三つ目は、選民意識を植え付けてくることだ。「他の人は絶対に誘わない」「あなたは選ばれた人」と巧みな話術で誘ってくる。だからついつい、その気になってしまうのだ。

具体的な事例としては、投資詐欺やネットワークビジネス(マルチ商法)、高額な自己啓発セミナーの勧誘などが挙げられる。怪しい副業の勧誘も多い。

これらの勧誘は、魅力的な条件を示しつつ、相手に冷静な判断をさせないよう仕向けるのが共通点だ。

■なぜスターバックスで怪しい勧誘が増えるのか? 3つの理由

それでは、なぜスタバが怪しい勧誘の場所として選ばれるのか。その理由は主に3つだ。

1つ目は、洗練された雰囲気だ。

この雰囲気が勧誘しやすい環境を作っている。スターバックスはほどよく上質で、かつリラックスした雰囲気が特徴のカフェだ。チープな感じがしない都会的なイメージを醸し出している。この独特な佇まいは、警戒心を抱きにくい場になっているのだ。

2つ目は、ビジネスマンが多く集まる場所であることだ。

スターバックスは都市部やビジネス街に多くあり、忙しいビジネスマンや若手社会人がよく利用する。子ども連れのお母さんや、足を組んで新聞や漫画雑誌を読むおじさんの姿はほとんどない。騒がしく喋り続ける主婦層が集まることも少ない。

だから、とりわけビジネスや副業の勧誘をするときには都合がいいのだ。

3つ目は、長時間滞在できる環境が整っていることだ。

スターバックスはWi-Fiや電源が使える。意外とこれは大きいな要素だ。勧誘には、しっかりとした時間を確保することがとても重要な条件だからだ。時間を気にすることなく、相手と落ち着いた環境で話し込むことができる場所は、都会ではなかなか見つけられない。

■ファミレスではなく、スターバックスが選ばれる理由

怪しい勧誘の場所として選ばれる理由としてもう一つ、重要な要素がある。それがスタバの「ブランド力」だ。

スターバックスは世界的に広がるブランドで、品質の高いコーヒーや居心地の良い空間が支持されている。そのためスタバでの会話は「信頼できる場所での話」という印象を与えやすい。あたかも「信頼できるビジネス提案」であるかのように装いやすいのだ。

このように勧誘者は「話術」を鍛えることはもちろん、ブランド力を借りた環境設定にも余念がない。

そのため、とくに承認欲求が高い人は要注意。快適な空間でコーヒーを楽しんでいると、冷静な判断力を失うことがある。雰囲気に飲み込まれず、少しでも怪しいと思ったら、

「具体的に、どういうことですか?」

「たとえば、どんな成功例がありますか?」

と掘り下げ質問を繰り返そう。そうすれば、いずれボロが出てくるはずだ。

そのような質問攻撃ができなければ、その場で承諾することは避け、いったん持ち帰ろう。そして良識のある人に相談したり、相手の会社や商材名でネット検索しよう。

リアリスト的な発言で申し訳ないが、「うまい話」はこの世に存在しない。自分の努力でチャンスを「うまい話」に変えていくことはできても、である。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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