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北朝鮮の超大型ロケット弾は直径600mmと確定、核弾頭を搭載可能

JSF軍事/生き物ライター
北朝鮮・朝鮮中央通信より2023年新年の発表。2022年12月31日の記念式典

 2023年1月1日、北朝鮮は前日の12月31日に600mm超大型ロケット弾の贈呈式を党中央委員会の本部庁舎の前で行ったと発表しました。

 北朝鮮の超大型ロケット弾(超大型放射砲)はアメリカ軍がKN-25というコードネームで呼んでいて直径600mmだろうと推定していたのですが、実際に北朝鮮から公式に直径600mmだと説明があり確認が取れたのは今回が初めてになります。

北朝鮮の超大型ロケット砲について新たに判明したこと

  • 直径600mm(推定と合致)
  • 戦術核を搭載可能
  • 6連装発射車両を2カ月間で30両生産
北朝鮮・朝鮮中央通信より2023年新年の発表。2022年12月31日の記念式典
北朝鮮・朝鮮中央通信より2023年新年の発表。2022年12月31日の記念式典

 600mm超大型ロケット弾(超大型放射砲)の北朝鮮での名称の「放射砲」とは多連装ロケット発射機の意味で、これまで装輪型(タイヤ式)の4連装発射機と装軌型(クローラー式)の6連装発射機が確認されており、今回の発表で30両が部隊に納入されたのは6連装装軌型の方になります。

 しかし「10月下旬から12下旬までの約2カ月間に600mm多連装ロケット砲車を30両増産した」という説明は事実なら驚異的な生産能力で、俄かには信じ難い数字です。実際に30両を実戦部隊に納入したのは事実のようですが、生産期間は本当なのでしょうか?

 また北朝鮮は2022年12月31日午前8時ごろに短距離弾道ミサイル3発を発射、2023年1月1日午前3時ごろに短距離弾道ミサイル1発を発射しましたが、これは600mm超大型ロケット弾の実戦部隊への納入にともなう検収射撃だったと北朝鮮側から説明がありました。(※600mm超大型ロケット弾は並みの短距離弾道ミサイルよりも大きい。)

 4発は何れも北朝鮮の西部から発射して通常弾道で約350km飛翔し、北朝鮮軍が何時も射爆場に使っている日本海の沿岸の無人島に着弾しています。

北朝鮮・朝鮮中央通信より2023年新年の発表。600mm超大型ロケット弾の検収射撃
北朝鮮・朝鮮中央通信より2023年新年の発表。600mm超大型ロケット弾の検収射撃
  • 2022年12月31日午前8時ごろ3発を発射、推定発射地点は平壌近郊の黄海北道中和郡
  • 2023年1月1日午前3時ごろ1発を発射、推定発射地点は平壌近郊の龍城地区
  • 4発とも水平距離約350km・最大高度約100kmの通常弾道
  • 発射地点の推定は韓国軍、飛行性能の数字は自衛隊の発表
  • 着弾地点は日本海沿岸の無人島「卵島(알섬)」

関連記事:2022年の北朝鮮の弾道ミサイルと巡航ミサイルの発射成功は74発、うち55発が短距離(2022年12月31日)

Google地図より筆者作成、2022年12月31日と2023月1月1日の射撃
Google地図より筆者作成、2022年12月31日と2023月1月1日の射撃

追記:朝鮮中央テレビが火星12中距離弾道ミサイルの量産を報道

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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