2022年の北朝鮮の弾道ミサイルと巡航ミサイルの発射成功は74発、うち55発が短距離
12月31日、北朝鮮が短距離弾道ミサイル3発を日本海に向けて発射しました。韓国軍の観測によると平壌の南60kmの黄海北道中和郡から発射したと推定され、着弾位置はおそらく北朝鮮軍が何時も射爆場として使っている沿岸の無人島「卵島(알섬)」だと思われます。
自衛隊の観測数値
- 8時01分頃、平壌近郊から北東に発射し最大高度100km・水平距離350km
- 8時14分頃、平壌近郊から北東に発射し最大高度100km・水平距離350km
- 8時15分頃、平壌近郊から北東に発射し、最大高度100km・水平距離350km
飛翔パターンからほぼ通常弾道を描く軌道で発射されています。過去の発射と照らし合わせると一番近いミサイルはKN-25(超大型放射砲)になるでしょう。なお黄海北道中和郡から発射したケースは過去に例がありません。
黄海北道中和郡から約350km
2022年の北朝鮮ミサイル発射一覧(12月31日まで)
- 01月05日朝 1号 HGV ※飛距離はMRBM相当
- 01月11日朝 2号 HGV ※飛距離はMRBM相当
- 01月14日夕 3、4号 SRBM×2 ※鉄道発射型
- 01月17日朝 5、6号 SRBM×2
- 01月25日朝 7、8号 GLCM×2
- 01月27日朝 9、10号 SRBM×2
- 01月30日朝 11号 IRBM
- 02月27日朝 12号 ICBM予備実験
- 03月05日朝 13号 ICBM予備実験
- 03月16日朝 失敗 ICBM火星17(推定)
- 03月20日朝 カウントせず(多連装ロケット4発)
- 03月24日夕 14号 ICBM
- 04月16日夕 15、16号 SRBM×2 ※新型小型SRBM
- 05月04日昼 17号 ICBM予備実験?
- 05月07日昼 18号 SLBM?
- 05月12日夕 19、20、21号 SRBM×3
- 05月25日朝 22号、失敗、23号 ICBM予備実験?とSRBMまたはHGV?
- 06月05日朝 24号~31号 SRBM×8
- 09月25日朝 32号 SRBM ※ダム湖からSLBMを発射
- 09月28日夕 33号、34号 SRBM×2
- 09月29日夜 35号、36号 SRBM×2
- 10月01日朝 37号、38号 SRBM×2
- 10月04日朝 39号 IRBM ※日本列島越え
- 10月06日朝 40号、41号 SRBM×2
- 10月09日夜 42号、43号 SRBM×2
- 10月12日夜 44号、45号 GLCM×2
- 10月14日夜 46号 SRBM
- 10月28日昼 47号、48号 SRBM×2
- 11月02日朝夕 49号~54号 SRBM×4、GLCM×2 ※SAM×23は除外
- 11月03日朝夜 55号~60号 ICBM×1、SRBM×5
- 11月05日昼 61号~64号 SRBM×4
- 11月09日夕 65号 SRBM×1
- 11月17日朝 66号 SRBM×1
- 11月18日朝 67号 ICBM×1 ※火星17
- 12月18日昼 68号、69号 MRBM×2 ※衛星試験ロケット(ノドン)
- 12月23日夕 70号、71号 SRBM×2
- 12月31日朝 72号、73号、74号 SRBM×2
発射成功74発・発射失敗2発(発射機会36回)
- ICBM 発射成功7発(全力発射3発・予備実験4発)
- IRBM 発射成功2発
- MRBM 発射成功4発 ※HGV2発と衛星試験ロケット2発
- SRBM 発射成功55発 ※SLBM(水中発射)を含む
- GLCM 発射成功6発 ※巡航ミサイル
- 発射失敗2発 ※3月16日の失敗は新型ICBM「火星17」。5月25日の失敗は詳細不明。
※ICBM予備実験は飛距離はMRBM相当。
※2022年の総合計数は、失敗2発を含め36回の発射機会で76発のミサイル発射となります。予備実験を含め発射成功は74発です。
※3月20日に発射された口径300mm以下と推定される多連装ロケット4発は発射機会にカウントしていません。これを発射機会に数えると36回目になります。
※カウントは弾道ミサイルと巡航ミサイル(対地攻撃用)の2種類のみに絞っています。多連装ロケット、対艦ミサイル、地対空ミサイルなどは除外しています。
※SRBM=短距離弾道ミサイル
※MRBM=準中距離弾道ミサイル
※IRBM=中距離弾道ミサイル
※ICBM=大陸間弾道ミサイル
※SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル(水中発射全般を含む)
※SAM=地対空ミサイル
※BM=弾道ミサイル
※CM=巡航ミサイル
※GLCM=地上発射巡航ミサイル
※HGV=極超音速滑空ミサイル
※発射機会は1日分を1回とします。朝夜にそれぞれ撃っても1回分でカウントしています。
※11月3日発射のICBMは発射失敗の可能性がありますが、観測された限りではIRBM相当の飛行性能を発揮しており予備実験だった可能性もあるので、暫定的に発射成功(部分的な成功)に分類しています。
※12月18日発射の衛星試験ロケットはノドン準中距離弾道ミサイルの転用品であり弾道ミサイル扱いとします。