世界でここだけ!実際に入浴できる世界遺産「つぼ湯」の魅力や利用方法、アクセスを徹底解説
旅行・グルメ・おでかけライターのsatochinです。実は温泉ソムリエマスターの資格も持っている温泉好き。世界遺産に登録された温泉が和歌山県にあり、実際に入浴もできると聞いて出かけてきました。
日本最古の温泉「湯の峰温泉」
約1800年前に発見された日本最古の温泉、和歌山県田辺市本宮町の「湯の峰温泉」。熊野三山のひとつ熊野本宮大社の近くにあり、古くから熊野詣の旅人たちが湯垢離場にした歴史のある温泉です。
※湯垢離場とは参拝の前に身を清める場のこと。
はっきり言ってアクセスはあまりよくありません。湯の峰温泉まで公共交通機関を利用して出かける場合、東京・名古屋方面からは紀勢本線の新宮駅から路線バスで70分、大阪方面からは紀伊本線の紀伊田辺駅から路線バスで110分。
車の場合、大阪方面からは阪和道・上富田ICから約60分。東京・名古屋方面からは熊野大鷲道路・熊野大迫ICを降りて約55分ほどです。
お店や民家のない道を走ってたどり着く先は、昔ながらの湯治場の雰囲気を残す趣のある温泉街。まるでタイムスリップしてきたかのようです。
世界遺産に登録された「つぼ湯」
2004年7月、熊野三山と熊野古道がユネスコ世界遺産に登録され、湯の峰温泉の中心にある岩風呂「つぼ湯」も世界遺産となりました。実際に入浴できる世界遺産は世界中でここだけです。なぜ、つぼ湯が世界遺産に認定されたのでしょうか?それは熊野信仰に強く関わっているからです。
つぼ湯には歌舞伎の題材で有名な小栗判官伝説があります。毒を飲まされて餓鬼阿弥の姿になった小栗判官が、照手姫や多くの人々に助けられながら熊野にたどり着き、つぼ湯で四十九日の湯治をおこなったところ、元の姿に戻ったという物語です。このことから「蘇りの湯」としても知られています。温泉の効用と熊野権現の霊験がよくわかる伝承ですね。
歴史や文化的に貴重なだけでなく、温泉としてもとても希少度が高いんです。天然石が自然にくり抜かれてできた湯船では、底から温泉が湧出しています。これ、とってもめずらしいんですよ。しかも、足元から湧いているのですから鮮度が違います!温泉も地上に出ると空気に触れ、酸化が進んで劣化するといわれているんです。実際につぼ湯に入っていると、足元から熱いお湯が沸いてきているのがわかります。小栗判官じゃなくても疲れが取れて蘇りそうです。
つぼ湯は1日に7度お湯の色が変わるとも言われています。写真は早朝のつぼ湯。お湯が碧がかっています。
こちらは夕方のつぼ湯。真っ白に濁ってました。
「つぼ湯」の利用方法
岩が自然にくり抜かれてできたつぼ湯は、2~3人はいるのが限界という小さな湯船です。そのため1組最大30分の貸切制となっています。利用時間は朝6時から夜21時まで。最後の組は20時30分です。
つぼ湯から歩いて2分ほどの湯の峰温泉公衆浴場前に受付があります。
券売機でチケットを購入したら、受付で渡し番号札を受け取ります。何組待ちかはその時教えてもらえますが、つぼ湯の前に番号札がかかっているので、1組30分で計算すると、だいたいの時間がわかります。予約はできません。番号札は順番に渡されます。
自分の前の組の番になったら、つぼ湯の前にある待合所で待機します。自分の番になった時、その場にいないと最後にまわされ、再度番号札をもらうことになるので注意してください。
順番になったら階段上にかかっている鎖をはずして中に入ります。しっかり鎖をかけ直してくださいね。「ただいま入浴中です」という合図にもなります。
番号札を扉の横にかけ、靴を脱いで小屋の中に入ります。
湯船以外には脱衣カゴがあるだけ。体や髪の毛を洗うことは禁止されています。
温度が熱い場合は蛇口かバルブをひねって水を入れます。下の方が熱いので湯かき棒でよくかき混ぜましょう。適温になったら水を止めて入浴します。
熱いからといって水の入れ過ぎは、次の人の迷惑になるので、ほどほどにしましょう。筆者が利用した時は、前の前の組が大量に水を入れたようで、入りやすい温度ではありましたが、せっかくの100%源泉が…と悲しくなりました。
つぼ湯から出たら、番号札は受付に返します。
「つぼ湯」を上手に利用するためのちょっとしたコツ
実際に利用して気づいた、ちょっとしたコツを紹介します。
1時間前くらいから気にかけるように
1組最大30分と上で書きましたが、つぼ湯のお湯は熱く、人によって(特に海外からの人)は10分~15分で出てくる人もいます。夏場はサウナ状態で、早く出てしまう人も多いと聞きました。なので、予測していたより早く順番がまわってくることもあります。1時間前くらいから気にしだした方が良いでしょう。
利用中の番号札は橋の上、もしくはバス通り沿いからチェックできます。
湯筒で温泉玉子づくり
川岸にある湯筒では90度のお湯が自噴しています。湯の峰温泉公衆浴場受付隣の土産物屋さんで卵や野菜を買って、ここで茹でて食べることができます。卵は10分ほどつけておいたら、黄身が半熟のおいしい温泉玉子になりました。つぼ湯の待ち時間に作ってもいいですね。
数個残しておいて、つぼ湯を出てから、バス通り沿いの自動販売機で冷たい缶ビールを購入して、おつまみにしたら最高ですよ。
希望の時間に近い番号札を受け取る裏ワザ
時間帯によっては、もらった番号札の順番が宿の夕ご飯や朝ご飯の時間にぶつかってしまうことも。筆者が番号札をもらうために並んでいるとき、少し離れたところで待っている人がいました。何をしているのだろうと疑問に思っていたのですが、筆者の後ろに3人ほど並んだタイミングで、列の後ろにつきました。
なるほど!予約はできないけれど、1組30分なのでだいたいの時間は予測できます。自分の入りたい順番の札になるまで、横で待っていたんですね!もし、またつぼ湯に入る機会があって、宿の食事と時間がかち合いそうな時は、その方法真似させてもらいます!
混雑状況ですが、筆者は月曜日早朝1番札をゲットしようと、6時から営業開始のところ5時45分に並んで2番でした。1番は海外から来たひとり旅の女性。5時35分に並んだと言ってました。最終的に6時前には6〜7人ほど並んでいました。休みの日の朝などは、もっと並ぶのかもしれません。参考までに。
「つぼ湯」と一緒に楽しみたい!
つぼ湯のチケットを購入すると、当日に限り公衆浴場の一般湯かくすり湯にも入浴可能。
一般湯は源泉に水を加えて冷ましたお湯で、あつ湯とぬる湯があり、シャワーも完備。髪の毛や体を洗うことができます。
くすり湯は時間をかけて冷ました加水なしの100%源泉。ここでは髪の毛や体を洗うことはできません。
せっかくなので、どちらかのお湯も一緒に楽しんできてくださいね。
湯の峰温泉から熊野本宮大社までは車で10kmほど。近くに熊野参道の入口もあります。ここまできたのなら、他の世界遺産にも出かけてみてくださいね。
湯の峰温泉観光に関しては、こちらの記事も参照ください。
湯の峰温泉 つぼ湯
住所 和歌山県田辺市本宮町湯峯110
電話番号 0735-42-0074
営業時間 6:00~21:00(最終受付20:30)1組30分の交代制
定休日 不定休
入浴料金 大人800円、小人(12歳未満)400円
公式ホームページ 湯の峰温泉(外部リンク)